壁に広げた 天使の翼
投稿日時:2019年09月24日(火)
与保呂に住む堀上武志さん(32)が、レジ袋を活用した「天使の翼」を有志と共に製作した。壁に掲げ、その前に立つ人にまるで天使の翼が生えたかのように見せる「レジ袋の羽根」を核に、人々が様々に関わり合うこと自体を現代アートにしようとする試みを取材した。
堀上さんは、ポリエチレン製レジ袋の存在自体が環境に悪いという世間の扱いに疑問や憤りを感じているという。「レジ袋もアイデア次第で有効に活用できると、これまでにも裂いたレジ袋を羽毛に見立てたドレスを制作するなどしてきた。今回の作品は、市内企業が開発した特殊な接着剤との出会いから生まれた。イメージはどこへでも行ける渡り鳥。この接着剤で、何度も貼り直しが出来る接着剤を使用し、抽象的な不等辺三角形の向きを変えて正面や横向きなど作品の前に立つ人の様々なポーズに自在に対応できる翼を構想した。「集まって作業すること、それ自体にアートを感じてほしい」との意向で、カフェやコミュニティスペースなど市内各所でのワークショップ(全)場が開かれ、細く羽根の形に切ったレジ袋を紐に結びつける、誰にでもできるワークショップ(全14回)を中心に制作が進め
回)を中心に制作が進められた。そして7月13日、約140時間と、延べ26人の手により、全長約4メートルとなる一対の「天使の翼」は完成した。
【舞鶴に広げた天使の翼】
「天使の翼は翼単体で作品となるものではない」と堀上さんは話し、「これは展示された場所を撮影スポットに変えるオブジェ。あたかも翼を生えたように見える写真をSNSに投稿してもらうという『体験』こそが作品の『実物』なのです」と満足そうに微笑んだ。「翼」は夏の間、赤れんがバザールで賑わう赤れんがパーク、舞鶴シティコレクションを初開催中の総合文化会館、クルーズ船停泊で外国人観光客が歩く平野屋のカフェFLAT+などの壁に掲げられ、多くの人々がその前に立った。堀上さんは「このプロジェクトで何を表現したかったか、何を表現しうるかといえば『LIFE(生命・生活)』だと思う」と振り返り「ポリエチレンはそもそもプランクトンなどの生物の死骸が堆積し石油となり、人と関わってできた、元は生命。身近なものを無駄なく使った翼の前に立ってSNSに投稿するのも同じ生命の流れそのもの。いい歳になった背の低い”おっさん”でもこんな事やっていいんだ、本当は高校生の頃にするようなことも、その続きが出来る舞鶴は案外悪くない、と、まちの活気につながればこのテーマも”生きて”くるのでしょう。素材の質感や存在感、独自性に触れるには、ぜひ生で翼の前に立ってほしい」と語った。「天使の翼」は、9月中も日曜日など、平野屋FLAT+で引き続き設置される。
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