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埋もれた歴史に光~引揚記念館に海保OB有志が模型を寄贈

埋もれた歴史に光~引揚記念館に海保OB有志が模型を寄贈

投稿日時:2018年12月21日(金)

 海上保安庁OB有志(梅本弘志代表)が8日、戦後、引揚者の海上移送を行った巡視艇「白杉」の模型(100分の1サイズ、木製)を引揚記念館に寄贈した。梅本代表は「忘れられていた大切な史実を、模型を見ることで感じてほしい」と話している。

 巡視艇「白杉」は昭和8年に広島県宇品造船所で竣工。全長25m、145トン。終戦まで舞鶴港務部で使用されたが、海上保安庁が昭和23年に創立されてから巡視艇として就役。引き揚げ事業が終わる昭和33年まで、大丹生沖の引揚船から平桟橋までの海上移送を行った。石炭を燃料とするレシプロ機関で、蒸気圧を上げるために、船員たちは夜中から出港準備作業にかかっていたという。また、引揚者が郷里へ帰還する際には平桟橋から五条桟橋までの海上移送にも従事した。海上保安庁のOB有志と関係者10人が、引き揚げ者のために活躍した功績を後世に残そうと平成28年の春頃から製作を開始。梅本代表が図面を作成し、制作模型の専門家である海見勝治さん製作を依頼。約1年半かけて今年の10月に完成した。巡視艇「白杉」は正式な図面が失われており、上空からの写真が皆無だった。側面写真から図面を作成。平面のレイアウトが不透明であったため、存命する当時の船員2人に会い助言を得ながら修正を重ねた。梅本代表は「2人の船員も電話で報告したが、“やっと歴史に足跡を残すことができ、報われた”と喜んでいた」と話した。同館の山下美晴館長は「引き揚げ事業は色々な機関の人間がかかわった。具体的な資料がない中で、模型という子どもたちにも分かりやすい形で寄贈して頂いた。これからの次世代への継承にとって有意な資料を頂いた。展示方法に関してはこれから考えていきたい」と話した。
(井上 務)

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