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地産料理で優秀文化賞 ~「うまいもん甲子園」優勝の吉田くん

地産料理で優秀文化賞 ~「うまいもん甲子園」優勝の吉田くん

投稿日時:2020年03月13日(金)

 高校生料理人のひのき舞台「うまいもん甲子園」で2連覇を果たした吉田大樹くん(城北中出身)がこのほど、舞鶴市優秀文化賞を受賞した。吉田君は2月28日、福知山淑徳高調理系列を卒業し、今春からは新たな舞台で挑戦を始める。

 昨年11月に開催された同大会は高校生対象の料理コンテストで、「ご当地食材を生かした地元の看板メニュー開発」をテーマとしている。同大会が8回目で、福知山淑徳高は7回目に続いての連続優勝となった。第8回大会にエントリーしたのは315校。出場校は全国7ブロックに分かれて地方予選を戦い、地区優勝の1チームずつと敗者の中から応援投票で復活したチームの、合わせて8チームが決勝に駒を進めた。同校は調理系列3年の吉田君と2年の酒井理月さん、大槻愛紗菜さんが出場し、まぜそばの「紅(くれない)の冷和願麺(れいわがんめん)」を出品。万願寺とうがらしの粉末を練りこんだ特製麺に、報恩寺産筍ナムル、万願寺甘とうにんにく味噌和え、鯖味噌、京人参ナムル、九条ねぎフライ、揉み海苔、地元養鶏場卵黄、完熟万願寺パウダーをトッピング。加えて味の変化を楽しめるように、好みで使用する自家製ラー油をつけた。決勝は5分以内のプレゼンテーションと30分で10食分を用意する調理が課題だったが、3人は抜群のチームワークを見せて完遂。料理を口にした審査員からは、「美味しい。製麺からこだわって食材を調達するなど見事だ」などと絶賛するコメントが続き、全国の強豪を退けての連覇が決まった。

【感謝の気持ちで心をひとつに】

 「入学してきたころは料理どころじゃなかった」とチームを指導する藤原竹志教諭(36)は振り返った。学校生活になかなか身が入らない吉田君を見かねて、調理系列から外れることを話し合ったりもしたという。しかし、目標が定まってからの成長には目を見張った。2年生の時に出た大会で優勝した後は、さらに意欲が高まっていった。3年生になると、吉田君だけが同大会への再挑戦を決め、大黒柱としてチームをまとめた。そして迎えた近畿大会。充実の準備を経て自信を持って臨んだはずの大会で、淑徳チームはまさかの敗北を喫する。審査員は「僅差」を強調したが、チームは大会連覇どころか全国大会へ出場できない瀬戸際に立たされた。しかし、敗退寸前の土俵際からチームは見事に復活を遂げる。同大会の敗者復活の仕組み、「復活投票」を全校生徒や関係者に呼びかけたのだ。その結果、集まったのは2424票と、2位に大差をつけてチームは復活を果たした。「力を貸してくれた恩に報いなければ」と、そこから吉田君らのラストスパートがはじまった。出来上がったメニューは、予選で足りなかった点を克服した最高の一品となり、チームは敗者復活からの奇跡の連覇を果たした。優勝のコメントで吉田君は、「地元の方々や農家さん、いろんな人のおかげで決勝大会に出場させていただいて、応援してくださった皆さんに優勝という形で恩返しができた」と喜びに目を潤ませた。吉田君は舞鶴市優秀文化賞も受賞し、充実の高校生活に幕を閉じた。今春からは職人として、京都・嵐山の料亭に入る。敗者の悔しさ、勝者の喜び、支援者への感謝。優勝という結果そのものより大きな経験を手にした吉田君。料理人の長く険しい道は、得難い経験に明るく照らされることだろう。

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