地域の宝に光
「神崎落花生」使用のチーズケーキが注目集める
京都市内の製菓会社
クラウドファンディングが大成功
投稿日時:2022年03月04日(金)
地域の魅力を語る上で、重点を置くべきものの一つに「食」がある。当地でも近年、観光振興と連携しながら、「肉じゃが」「万願寺甘とう」「カレー」「丹後とり貝」「京鰆」など、数多くの地域ブランドにスポットが当てられてきた。そんな中、新たに脚光を浴びはじめている食材がある。
支援者から資金を集めて事業に取り組む「クラウドファンディング」で、神崎落花生を使用したチーズケーキの製造販売計画が大きな注目を集めている。
計画に取り組んでいるのは、京都市内で製菓会社を経営し、自身もパティシエとして活躍する福本大二さん(42)。これまでにも京都府内の様々な生産者やブランドと連携して、独自性のあるチーズケーキを開発するなど、数多くの商品を生み出してきた福本さん。ある日、京都市内の有名老舗和菓子店の代表銘菓の原料に、舞鶴産の夏みかんが使われている事を新聞で知ったことがきっかけとなり当地に興味を持ち始めた。早速、縁を頼りに「舞鶴夏みかんの会の村上貴是代表を訪ねた福本さんは、思いがけず神崎特産の落花生に出会った。
「季節は秋で夏みかんの旬ではなく、お話だけのつもりだった」と考えていた福本さんだったが、村上さんから勧められた塩炒り落花生を口にすると、その味に衝撃を覚えた。福本さんは「薄皮も全く渋みがなく、むしろ香ばしさを引き立たせている落花生。こんなものは食べたことがないと、その味に感動しました」とその出会いを振り返った。
その後、試行錯誤を経て完成したチーズケーキを福本さんは、クラウドファンディングのwebサイト「マクアケ」に公開。当初、目標とした30万円を開始後すぐに超え、3日現在400万円に迫る勢いで支援者が増え続けている。
【苦難の末に明るいともし火】
「反響の大きさに正直驚いている」と話す福本さんだが、当地の生産者からも喜びの声が上がっている。
「神崎落花生」の栽培に取り組んで7年目となる農家の後守貴博さん(47)は「これまで長らく、落花生が外に出ていくことがなかった。こうして全国に出ていく機会をいただいて『うれしい』の一言に尽きる」としみじみと話した。
栽培を始めたきっかけは、神崎地区の知人からのすすめ。生産者のほとんどが80代と高齢化し、生産地の将来を案じた末の打診だった。砂地が落花生の栽培に適しており、美味しいものが作れるとは言われていたものの、栽培への挑戦には多くの障害が立ちはだかった。目を覆うばかりの獣害に、心が折れそうなことにもあったという後守さん。荒廃した農地を地道に耕し、生産量は当初の5倍にまで伸びた。想定以上の支援者を集めたチーズケーキだが、生産量を増やした後守さんだからこそ追加発注に応えることが出来た。
福本さんは、「こんなに素晴らしい落花生は絶対に絶やしてはいけない。多くの皆さんに食べていただき、共感の輪を広げたい」と話し、後守さんは「今回の結果は、神崎地区振興の起爆剤になると思う。これで弾みをつけて次に進みたい」と今後に向けての意欲を見せた。
思いがけないスポットライトを浴び、輝きを放ち始めた「神崎落花生」。今後の飛躍を期待せずにはいられない。
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