地域に根ざし「持てる力」を支援 府助産師会の西村さん 医療功労賞受賞 いまも活動に情熱傾け【舞鶴】
投稿日時:2012年05月08日(火)
京都府助産師会会員で、舞鶴医療センター附属看護学校非常勤講師の西村佳子さん(67)=浜=が、長年地域医療に貢献してきた人に贈られる第40回医療功労賞(読売新聞社主催)をこのほど受賞した。38年間の病院勤務の体験を活かし、いまは地域の中で暮らす助産師として、赤ちゃんから高齢者まで「持てる力」を支援する多忙な毎日を送っている。 京丹後市峰山町の生まれ。10歳の時、弟が産婆さんの手で取り上げられた。当時は自宅分娩が普通で、産婆さんは地域で信頼されていた存在。そんな産婆さんの姿を見て、「私もあんな人になりたい」と決めた。 国立舞鶴病院(現同センター)で、助産師・看護師の歩みを切った。産科と小児科が連携した母子医療センターが1982年同院に開設され、翌年から看護師長に。未熟児医療と小児がんの看護に力を尽くした。看護学校の学生たちの実習指導では、助産師の仕事の面白さを伝え、その中から多くの学生が助産師の道に進み、現在地域の中で一緒に活動している。 小児科病棟も担当した。入院しながら隣接する養護学校で学ぶ病弱児童に対し、生命力を引き出す看護で向き合った。「1人1人の持てる力への支援」の姿勢は、精神科病棟勤務でも変わらず、行政や福祉関係者と連携し長期入院患者に関わった。 西村さんは「ただ目の前の課題を何とかしようと取り組んだだけ。一生懸命やっていたら、周りのみんなが支えてくれた。そんな仲間たちに贈られた賞だと思っています」と語る。 04年退職後は府助産師会に入会。丹後支部長を務め、後輩たちに声をかけ地域に開業助産師を増やした。その中の1人は市内で助産院を開業し、子育てサロンなどの活動もする。高浜町の母子保健事業を引き受ける府助産師会メンバーとして、新生児訪問などにも取り組んでいる。 また、京都暁星高校(宮津市)での講師、民生児童委員、献血活動推進ボランティア、「いのちの教育」の講演活動など、勤務時代に劣らぬ活動ぶりだ。「昔の産婆さんのように気軽に相談してもらえる環境づくりのため、地域にもっと開業助産師の仲間を作っていきたい」。尽きぬ泉から情熱が湧き出ている。
写真=府助産師会の孫育て講座で指導する西村さん(中央)
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