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元舞鶴市史専門委員の故・中嶋さん(宮津市)の 論文などまとめ郷土史家らの手で著作集 【舞鶴のニュース】

元舞鶴市史専門委員の故・中嶋さん(宮津市)の 論文などまとめ郷土史家らの手で著作集 【舞鶴のニュース】

投稿日時:2002年08月06日(火)

 舞鶴市文化財保護委員や市史専門委員などを務め、先月90歳で亡くなった宮津市喜多の中嶋利雄さんの論文などをまとめた著作集・天橋立編が、交友のあった宮津や舞鶴の郷土史家らの手で、このほど出版された。国宝となっている雪舟の「天橋立図」で謎とされていた構図について、新しい解釈を提示するなど、中嶋さんが愛情を寄せた天橋立に関する論文を収録している。今後も続編が計画されている。
 元上宮津小学校校長だった中嶋さんは、舞鶴の由良川中学校や福井小学校にも赴任した。舞鶴市史専門委員として中世の歴史の執筆を担当。舞鶴の未解放部落が中世からそのまま続いたのでなく、戦国時代を経て牧野藩制時代に形成、固定された事実を発掘するなど、科学的な市史研究の先駆けとなった。また、舞鶴地方史研究会の会員でもあり、丹後の歴史について論文を多数発表し、舞鶴や宮津など丹後の郷土史家と親交を結び、後進の指導にもあたった。
 多くの研究の中でも、室町時代の画僧、雪舟が描いた「天橋立図」について新見解を提示したのが注目された。図は手前から中景、遠景、近景といったように遠近が不規則で、宮津湾外にある冠島と沓島が図では湾内に描かれているのが謎とされてきた。これに対して中嶋さんは3カ所で描いた絵を合成し、下部の栗田半島の山並みの図は裏返して描いたという考えを発表し、研究者からも評価された。
 中嶋さんの同人誌「私のリポート」の同人の5人が刊行会を作って、昨年から編集作業をしていた。宮津の中野遺跡発掘調査の報告書、新見解の論文、観光と風景の文章、「天橋立図」の解釈に対する府立丹後郷土資料館技師の伊藤太さんの解説も掲載している。今後、「舞鶴編」「宮津編」なども計画。
 刊行会の1人で舞鶴市文化財保護委員の加藤晃さんは「中嶋さんの元気なうちに出そうと思ったが、間に合わず残念です」と話していた。著作集はA4判、93ページ。1冊2000円。市内の書店で発売予定。

【問い合わせ】電話0772・22・1158、あまのはしだて出版。

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