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倉梯小に絶滅危惧種 ニッポンハナダカバチ

倉梯小に絶滅危惧種 ニッポンハナダカバチ

投稿日時:2020年07月28日(火)

ニッポンハナダカバチの標本

 環境省が絶滅危惧種Ⅱ類(京都府準絶滅危惧種)に指定している「ニッポンハナダカバチ」が21日、倉梯小の砂場で見つかった。この日の午前中、砂場で遊んでいた児童が、「この虫は何という名前?」と講師の品田正明さん(67)に尋ねてきた。品田さんは早速、補虫網で捕まえ、虫かごの中へ保護したが、すぐに死んでしまったため標本として残すことにしたという。インターネットで調べたところ、絶滅の恐れがあるとされるニッポンハナダカバチという砂バチの一種と分かった。砂バチは、幼虫の餌にするため他の昆虫やクモを捕えてくる狩り蜂の中でも、幼虫を育てるために砂地の地中に穴を掘る習性をもったハチをいう。一風変わった習性は古くから多くの研究者をひきつけてきた。ファーブルも「昆虫記」ではハナダカバチの記述だけに数章を割いている。ハナダカバチは南極を除く全大陸に生息し、世界で約350種が知られている。砂漠の多い北アメリカやオーストラリアで多く見られ、日本にはニッポンハナダカバチのみが生息している。
 体長2cmを超える大型のハチで、前脚の外側に熊手のように突き出た剛毛を使い、直径1cm前後の穴を掘って巣を作るのが特徴。6~8月にかけて巣の周囲を飛び交い繁殖行動が見られる。寿命は約1カ月と短い。砂バチの中でこの仲間のみが、巣穴が完成してからも幼虫のために餌を運びこむ習性を持っており、「随時給餌」と呼ばれる。ニッポンハナダカバチが巣をつくる場所は、砂地の河川敷や海浜だが、高度経済成長期以降の河川改修や港湾建設などにより巣づくりに適した地がなくなり、種の存続が危ぶまれている。近年、学校の砂場でまれに巣作りをしているのが見つかっており、市内では市生活環境課が、丸山公園内で生息を確認している。「子どもたちには自然や自然環境を大切にする人に育ってほしい。この標本を活用する機会をつくりたい」と品田さんは話している。

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