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信仰守りし観音講 神寄りし神崎で生きる

信仰守りし観音講 神寄りし神崎で生きる

投稿日時:2017年06月20日(火)

 東神崎。槙山(まきやま)のふもと、巨石に囲まれた天然の洞穴内に「穴観世音大菩薩」が祀られている。古くから多くの地元住民による厚い信仰を受け、「穴観音」の名で親しまれる観音様は、地元住民たち「観音講」によって今も脈々と守り続けられている。昔、病のため盲目となった母親の枕元に観音様が現れ、娘が母親とともに探し当てたと伝わる「穴観音」。線香の灰をイボに付けると治り、石を持って帰ると子宝を授かるなど、ご利益を授かりに市内外から参拝者が訪れる。毎年4月と9月の14日には「大祭」が行われているが、毎月14日「ご例祭」として、曹洞宗大明寺を兼務する宗見寺の内海孝司住職が祈祷を行いに来る。地元住民からなる観音講たちは、60歳を過ぎるとその役に就く者が多い。現在18人がおり、例祭前日の13日に洞穴内やお堂の掃除。当日には祈祷の準備をし、訪れる参拝者たちを温かく迎え、丁寧にもてなす。朝8時半、9時半、10時半には住職と共に御詠歌をあげる。堀家智子さんは東神崎に嫁いでから60年以上この地に住み、長い間観音講として穴観音を守ってきた。「おかげ様で長生き出来ています。昔はお参りに来る人が多く行列が出来るほどでした。今は少なくなっていますが、信仰を受け継ぎ守っていかなければ。大切なのは心から信じること」と笑顔で話す。一方、浜本弥生さんは昨年2月から「観音講」を務めている。「由良川小学の廃校前は、社会の授業などで見学に来ました。今は無くこの場所を知る人も少なくなってきています。また神崎も人が減っています。継承していくのは大変だと思うけど守っていきたい」と語る声は力強い。内海住職は「今思うと毎月14日になると不思議と元気になります。26年間一度も休んだことがありません。こうやってご祈祷を務めさせて頂けることがご利益です。準備をし、掃除をして頂き、本当に地元の方たちに支えられています。ありがたい」と観音講たちへの信頼と感謝を述べた。長きに渡り信仰を守ってきた観音講。担い手は減少してきたが、その信仰心は確かに受け継がれている。

〈記者の独り言〉
 「穴観音」については詳しい資料が存在せず、いつから祀られているかなど歴史は不明。何故14日に大祭、例祭が行われるかも分かっていない。(観音様の縁日は18日)。石像である「穴観音」の石は日本のものでなく大陸由来だという。また側に建つ大明寺も、正式には高麗山大明寺であり、大陸から渡ってきたのではと住職は話す。
(井上 務)

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