伝えるチカラで伝わる心
声で魅せる物語『朗読ミニコンサート』
朗読ボランティア「こだま会」
“届けたい”その思いが原動力
投稿日時:2023年01月17日(火)
読み上げる人の声によって物語の世界観を伝える朗読は、脳の活性化をはじめ様々な良い効果をもたらすとされている。読み手はもちろんのこと聞き手にとってもまた朗読は、思いやりの心を育み感情を豊かにし、想像力を鍛えてくれるものだ。そんな良いことずくめの「朗読」ミニコンサートが昨秋11月25日、中総合会館でひっそりと開かれ来場者をもてなした。
主催したのは朗読ボランティア「こだま会」(和田法子代表・74)。朗読入門講座を修了した人たちによって平成14年に結成された同会は、最盛期で8グループ約60人の会員を擁した。しかし会員の高齢化に加え、コロナ禍で発表の場を失ったことなども拍車をかけ、現在は4グループ25人にまで減少。この日は、そのうちの一つ「きさらぎグループ」によるミニコンサートが行われた。
コロナ禍を鑑みて、ほとんど周知をせず小規模での開催とした。
久しぶりの発表の場とあって会員らは、しゃんと伸びた背筋に生き生きとした表情で、耳に心地の良い朗読を披露。絶妙な間をとり時に悲しく、時に前向きに力強く、抑揚をつけながらそれぞれの物語の世界へと誘った。
瀬戸内寂聴の「しだれ桜」をはじめ、表現力豊かに読み上げた作品は7編。読み手の声を頼りに物語の情景をイメージしようと、来場者は瞼を閉じるなどして聞き入っていた。
ラストを飾った作品は、林芙美子・著「鶴の笛」。話の内容は、いま私たちが置かれる状況を彷彿させるもの。長引くコロナ禍やロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻など、混迷する社会情勢の中で生きる私たちに、多くの『気づき』を与えるものとなっている。
熱心な様子で聞き入っていた女性は「(鶴の笛を聞いて)話し方が上手で物語の中に引き込まれ、とても感動しました。この話のように、舞鶴を離れた人たちもいつか帰ってきてくれると嬉しいですね」と話した。
また、グループのボランティア活動も少しずつではあるが再開しており、10月には池内小へ出向き読み聞かせを行った。会員らは、「子どもたちはみんな真剣に聞いてくれる。どれにしようかと学年や年齢に合った本を選ぶのも楽しい」と笑顔で振り返った。
「メンバー25人中65歳以下は3人だけです」と会員の高齢化を危惧しながらも笑い飛ばす和田代表は「発表の場があることは会員にとって励みになります。よい朗読を届けられるよう練習を重ね、これからも活動を続けていきたい」と力を込めた。
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