企業の工夫で大きな戦力に
投稿日時:2019年04月05日(金)
「障害者雇用シンポジウム」がこのほど、商工観光センターで開かれた。先進的に障害者雇用を進める企業の講演や、パネルディスカッションなどが開かれた。障害者雇用の拡大につなげる機会にしてもらおうと市が企画。市内の企業担当者など約180人が参加した。基調講演では、約80人の従業員のうち7割を知的障害者が占める日本理化学工業(株)の大山隆久社長が講演。50年以上にわたり障害者雇用にこだわり続けてきた同社の歩みを話した。チョークメーカーである同社が知的障害者を初めて採用したのは昭和34年。当時社長だった父が近くの養護学校から依頼され「同情からのスタート」だった。一週間、2人の女性にフタにシールを貼る仕事を与えたが、一生懸命に頑張る姿を見て「社員が、手助けするから正規雇用してほしい」と訴えた。休まず出勤してくる彼らを見て「なぜそんなに働きたいのか、施設で守られていた方が安心して暮らせるのに」という疑問に、禅寺の坊さんが「人間の究極の幸せの1つは働くことで得られる。施設では決して得られない」と答えた。「これこそが企業の使命なのだ」と感銘を受けた。利益を出す戦力として働いてもらうまでには長い苦労があったが、「彼らが分からない」のは「教え方が悪い」という考えで工夫を続けた。チョークの規格サイズの確認では専用の測定ケースを作った。時間の確認では砂時計を用いることで解決した。障害者雇用の気づきから生まれた仕事方法は健常者を含め全社員の効率化に貢献している。「彼らにとって分かりやすいことは、皆にとって分かりやすい。ユニバーサルデザインに繋がる考えで、彼らの雇用から気づいた事は沢山ある」と話し「障害者は仕事が出来ない訳ではない。企業が工夫することで、難しいと思われる仕事でも理解してもらえると、大きな戦力になる。絶対にあきらめないことが、長く続く企業だと思う」と参加者に語りかけた。後半は、府内の障害者雇用企業などがパネルディスカッションをした。
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