令和も挑戦
老舗洋菓子店・お菓子の自販機が人気
ハレの日の食べ物 作り手は笑顔で
投稿日時:2022年04月29日(金)
時代の移ろいと共に変化を続ける社会環境。「治安が良い国」の象徴として語られることが多かった自販機も、環境変化と無関係ではない。国内での設置台数は、2000年の約560万台をピークに、2020年には約400万台まで激減した。そんな中でこの春、西地区で新たに登場した自販機が、ちょっとした「街の話題」になっている。
その自販機で売られるのは、「お菓子」。洋菓子製造販売の老舗「シェ・イラノ」(平野勝央社長=57=)が設置した。同社のイメージカラーである緑色に包まれた自販機には、約20数点の焼き菓子などが並ぶ。平野社長によると、3月の設置からこれまで予想を上回る売上を計上しているという。全国的な例に漏れず自販機が減少し続ける当地で、幹線道路沿いにありひときわ目を引く「洋菓子の自販機」は、設置後すぐに地元住民らの間で話題になった。店舗が休業となる日曜日には、一日に5回程度は商品を補充する程の人気を博している。
設置のきっかけは、店頭販売をしない工房の開設と、日曜日の休業化。それは、「現状に胡坐をかいていては、だめになるのも早い」と、継続的な変化の必要性を追い続けてきた同社ならではの決断だった。
【代々の想い商品に込めて】
同社のはじまりは明治初頭。近江から当地に移り住んだ平野喜三が、妻・すまと共に創業した。最初に取り組んだのはアメの製造と卸売りだったが、以降は和菓子の卸売りなどを経て、3代目が「洋菓子の時代」到来を見すえて方針転換。昭和45年に洋菓子の製造を始めた。
4代目となる平野社長は20代から職人となり、平成6年から本格的に後を継いだ。本場フランスで修行するなど腕を磨き、多くの顧客の支持を集めるようになった。
しかしそんな中でも「常に危機感を持っていた」と振り返る平野社長は、10数年前から外販を強化。忍耐強い営業の甲斐もあり、今では大手百貨店などを通じて多くの顧客を獲得するまでになった。外販需要の高まりで開設した工房では、バウムクーヘンの製造を強化。看板商品として、初代夫婦の名を冠した「喜三バウム」と「すま」を開発した。
また昨年から、店舗の日曜休業を決めた。真剣に「働き方改革」と向き合った結果、「ハレの日の食べ物を作る店として、スタッフみんなが幸せでないといけない」との信念で辿り着いた決断だった。
平野社長は「スタッフが休んでも、自販機には頑張ってもらわないと」と笑顔を見せ、「私もあと10年は頑張りたい」と力を込めた。
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