今こそ古き良き心構えを
北都信金・東東舞鶴中央支店の二宮金次郎像を寄贈
福岡ゼミナールで子らを導くシンボルに
投稿日時:2022年07月08日(金)
京都北都信用金庫が、東舞鶴中央支店旧店舗前に建てていた二宮尊徳の像を福岡ゼミナール(福岡正典塾長)に寄贈し、7月4日に同塾から感謝状を贈られた。平成4年から道行く人を見守り続けた像は今後、場所を変えて「次代を生き抜く心構え」を伝え続けることになる。
二宮金次郎の石像は、同支店がかつて東舞鶴信用金庫として営業していた平成4年9月21日、故・古川正一理事長により自身の退任に合わせて建立された。
白御影石で造られた像の高さは約1で、台座を含めると約1.8にもなる。薪を背負って本を読むその姿は、全国各地の学校などで見ることも多い。
江戸時代の農政家である金次郎は、少年時代に洪水で一家離散の憂き目をみたが、勉学と勤倹に励んで34歳で地主に。農村復興を指導し、経済と道徳の融和を訴え、「私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元される」と説いた。
カード破産や好景気によるモラルの低下などが社会問題となっていた当時、古川理事長は「温故知新」を掲げて石像建立を決意。「伝統から新しい価値と意義を再発見していく心構えが必要」だと行員らに教え諭したという。
5月に新店舗への移転を終えた同支店では、旧店舗の取り壊しと合わせて像の撤去が予定されていたが、「廃棄されるのは忍びない」との声が上がり引受先を探していた。
昭和62年に旧東舞鶴信用金庫に入行した同支店の材木博支店長は、新人時代に古川理事長の薫陶を受けたといい、「受け継いでいただき本当にありがたい。当地の人づくりに今後も役立っていくことを期待している」と言葉に喜びをにじませた。
【「温故知新」の教えを次代へ】
感謝状贈呈式の翌日、像は引土にある同塾本部校舎に移設された。寄贈時には色落ちで読みづらくなっていた碑文にも色が入り、「『温故知新』尊徳先生の教えを偲のび今こそ失った心をとりもどそう」との一文も鮮明に浮かび上がった。
福岡塾長(69)は、「偉人に学んで追体験をすることは、子どもたちにとって重要な意味を持つ」と話し、「素晴らしい像をいただき本当にありがたい」と謝意を述べた。塾では22日に像を披露する式典を開催し、二宮金次郎のことを学べる冊子を作成するという。
昭和54年、26歳の時に学習塾を始めた福岡塾長。当時から比べると、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わった。
「学習塾が担うべき役割は、今では単に学力向上を目指すだけに留まらない」と話す福岡塾長。塾では、スマホでのゲームやユーチューブなどの視聴が脳に及ぼす悪影響から食生活の重要性に至るまで、日常生活における心構えを生徒本人はもちろん保護者にも訴えるという。
像の移設を「願ってもないタイミングだった」と喜ぶ福岡塾長は、「古川理事長の思いを繋いで教育の原点に帰り、人道の極としての金言を不朽に伝えていきたい」と力を込めた。
像の移設場所となったのは同塾本部校舎前(引土427―17)。
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