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与保呂川の氾濫に備え 南舞鶴自治連が自主防災研修

与保呂川の氾濫に備え 南舞鶴自治連が自主防災研修

投稿日時:2019年03月08日(金)

 南舞鶴自治連合会(田中幸男会長)が主催する「自主防災研修会」がこのほど、南公民館で開かれた。各町内会の代表や消防団など45人が参加し与保呂川流域の浸水想定や避難所運営などについて学んだ。45町内、約4600世帯を擁する地域の安全を自分たちで守ろうと住民たちが力を合わせている。

 全国各地で大規模な災害が発生するなか、同連合会では毎年、自主防災研修会を実施している。今年は1953年に起こった「与保呂川の決壊」の教訓をもとに、豪雨や洪水による同地区の被害予想を知ろうと企画。講師に府や市の担当課の職員を招いた。研修では、府中丹東土木事務所河川砂防室の乾隆之副室長が、府が昨年の10月に発表した「与保呂川の浸水想定区域図」について説明した。同図は与保呂川の堤防決壊・氾濫時の被害範囲と浸水規模を想定したもので、雨量は1000分の1の確率(年間)で発生する量を想定。西日本豪雨時に舞鶴気象台が観測した総雨量438.5㎜を超える443㎜(12時間)、162㎜(1時間)を想定している。同図によると、与保呂川中流の金屋町付近では2.45m、亀岩町、常、常新町付近では1.65m、下流の浮島付近で1.36mの浸水が予想される。また、溢れた水は低い方へ流れ、駅裏沿いで1.29m、寺川・八雲通沿いで1.67m浸水するとした。乾副室長は「災害時には府や市が出す避難情報を出来るだけ確認して頂くことで、いざという時には自分の命を守ってほしい」と話した。続いて、市危機管理課が避難所運営ゲーム「HUG」を紹介。HUGは避難所運営を疑似体験するゲームで、市民の防災スキル向上のため、全国で活用されている。
 参加者は学校の体育館に見立てた用紙を囲み、進行役が「4人家族」や「一人暮らし高齢者」「外国人」「ペット」「停電」などの情報が書かれた「避難者カード」を配布。参加者は用紙に配置しながら避難所を運営していく。今回はゲームの紹介に留まったが、「誰が最初に指揮をとるのか」や「一般市民に権限があるのか」「マニュアルはあるのか」などの意見が交錯し、避難所運営の難しさを浮き彫りにしていた。田中会長は「水害が発生した場合の地域の状況が詳しく分かった。HUGでは避難所運営の難しさを改めて感じた。避難所運営は大切なことなので、機会があれば今後の研修でもしていきたい」と話した。同連合会では、災害発生の際、公的機関が来る前の初期活動で地域住民の安全を確保する「自主防災部」の発足を進めてきた。昨年初めて9町内で結成。現在1町内が準備中だという。
「自主防災部」は各町内に組織され、組長が担当する。災害の際には、正確な情報の把握、要配慮者への声かけ、人命救助などを行う。平時には初期消火やAEDを使った救命方法などの訓練をする。田中会長は「今後も自主防災部を増やして、もしもの為に対応できる体制を整えていきたい」と話した。
(井上 務)

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