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コロナ禍乗り越え より強く<br>新日本海フェリー<br>スタッフ一丸で難局突破<br>就航から半世紀 北海道との絆感じる企画の数々

コロナ禍乗り越え より強く
新日本海フェリー
スタッフ一丸で難局突破
就航から半世紀 北海道との絆感じる企画の数々

投稿日時:2022年06月10日(金)

 観光庁が取りまとめた2022年1-3月期の「旅行・観光動向調査」によると、期間中の日本人国内旅行消費額は2兆2032億円で、2019年同期比47.7%減、2021年同期比35.4%増となった。コロナ禍で沈み込んだ消費額は回復を続けており、少しずつ明るい兆しが見えてきた今、スタッフが一丸となって難局に立ち向かう事業所を取材した。

 コロナ禍に見舞われたこの数年、当地の観光産業は辛酸をなめることになった。かつて市が目指した「交流人口300万人・経済人口10万人の都市を目指して」というフレーズも全く耳にしなくなり、コロナ前に過去最多を記録したクルーズ船の寄港も激減。当地を発着する「新日本海フェリー」も大きな影響を受け、その間に就航50周年の節目もひっそりと過ぎ行くことになった。
 そんな中で昨年4月、舞鶴支店の支店長に着任した吉岡努さん(54)には、期するものがあった。小樽市出身の吉岡さんは、高校卒業後に入社し20数年。前任地の大阪では海外輸出の業務に数年間携わっていたことから、久しぶりのフェリーに関わる仕事となることに、情熱が沸き上がってきたという。
 吉岡さんは「コロナのどん底ではあるが、自分も原点の初心に帰り、新たな気持ちで頑張ろうと思いました」と着任時の気持ちを振り返る。支店のスタッフは総勢18人。普段は様々な役割を果たすそれぞれが、一丸となってアイデアを出し合う日々が始まった。
 【当地ならでは 北海道との縁】
 支店で最初に取り組んだのは、「おうちでジンギスカン」企画。冷凍ラム肉と特製タレをセットで販売し、好評を博した。意識したのは小樽と舞鶴の「縁」。観光消費が減少し落ち込む北海道を、半世紀にわたってフェリーで繋がった舞鶴が応援するという構図だ。
 続いて北海道物産の販売も始め、積極的に広報した。入社6年目・市内出身の中道真季さん(23)が担当するのは、乗船予約などを受ける窓口業務。「少しでも多くの人に来てほしい」そんな思いで業務あたっていたある日のこと、兵庫県の旅行会社が個人客の代行で乗船予約を入れた。通常ならここで任務完了なのだが、“旅行会社”と聞き“誘致につながらないか”とかすかな望みと期待の中で「舞鶴へのツアーはありませんか」と尋ねてみることに。結果、この会話がきっかけとなり20人ほどの舞鶴ツアー団体客が支店来訪を組み込み、フェアの「北海道土産」を買ってくれることになった。
 「楽しく仕事が出来てありがたい」と笑顔を見せる中道さんは、「これからは舞鶴の人たちにも、前島ふ頭の魅力を知ってもらえると嬉しい」と充実感を漂わせた。

「北海道ランチ」を案内する(左から)中道さん、吉岡さん、池田さん

 【観光客注目の名物企画】
 市内出身の池田加津馬さん(49)は、コロナの影響により人気(ひとけ)のないフェリー乗り場の前で、かつてなく賑わう釣り客を眺めている時、「どうにかしてこの人たちを呼び込めないか」と考えた。そこで思いついたのが「北海道ランチ」。吉岡支店長の出身地・小樽のソウルフード「小樽あんかけ焼きそば」など、珠玉のメニューをそろえた。だが予想に反して、釣り客を呼び込むのは難しかった。トイレは利用するものの、釣りを中断してゆっくりと食事する人はいなかった。しかし、客の一人が食事内容をブログに掲載したことから状況が好転し始める。徐々にインターネットを通じた口コミは広がり、土日限定で実施されるランチには、京阪神からのツーリング客など、多くの人が来るようになった。
 吉岡支店長は、「コロナで大変なことはあったが、だからこそ今がある。スタッフの感謝の気持ちが表情に現れ、それが次のリピーターを生む。やりがいをもって楽しく仕事をする大切さを改めて感じた」とスタッフの頑張りに目を細め、「舞鶴は自然豊かで穏やかな場所。前島ふ頭が観光名所になるお手伝いが出来れば、赤れんがパークと連携し、もっと可能性が広がる」と力を込めた。「北海道ランチ」は6月26日まで。次回は来年1月頃からの予定。詳しくは問0773・62・3000(同支店)まで。

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