クサフグの大群、伊佐津川に遡上 京大水産実験所の上野さんが確認 【舞鶴】
投稿日時:2004年06月01日(火)
海水域や河口などに生息するクサフグの大群が、伊佐津川に遡上している珍しい様子が見つかった。京都大学フィールド科学研究センター・舞鶴水産実験所の上野正博助手が5月28日、上安久の相生橋の下で、川底の砂利にぺたっと張りついてる数百匹のクサフグを確認した。満潮の上げ潮に乗って訪れたらしい。餌取りの魚として釣り客には馴染みがあるが、淡水域の川まで大群で上ってくる理由はあまり分かっていない。上野さんが伊佐津川河口の水質調査をしている際、河口から約500メートル上流の相生橋付近で発見した。この地点の水の塩分濃度を調べたところ、0.1でほぼ淡水だった。橋の上からその群れを撮影した。川底に張りついて動かない様子は「湯治に来て温泉につかっているよう」という。クサフグは体長約16センチまでで、青森県以南の日本沿岸に生息。「投げ釣りの外道」として釣り針にもよくかかるが、卵巣などに毒を持っている。産卵の習性が特異。5月~8月にかけて新月または満月の前後の夕方、大潮に合わせて大群で波打ち際の岩場に乗り上げ、小石の間に産卵する。低塩分に強く、海水と淡水が混じる汽水域の河口に生息するほか、淡水域の川にも上るという。数年前から宮津市内の犀川などに遡上するクサフグの報告があり、東京工業大学の研究者らが捕獲して調査を開始。川底に張りついて動かないこと、遡上したクサフグは川と海を頻繁に往復するなどの様子を観察したが、なぜ淡水域まで遡上するのかなど詳しいことは分かっていない。 上野さんは「見つけたのは舞鶴港の満潮時間(28日午前10時53分)の少し前だったので、上げ潮に乗ってきたのかも。海水魚が淡水域に上がる理由はいくつかあるが、クサフグの場合、体表面についた寄生虫やカビを殺すための可能性が大きい」と話していた。
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