アメリカへの夢 三たび~パシフィックウエーブ 米起業挑戦権獲得
投稿日時:2018年02月09日(金)
京田で寝具などを製造販売するパシフィックウエーブ(田中啓介社長)がこのほど、米国での起業プランを競うコンテストで「準グランプリ」の栄誉に輝いた。同社は今月11日からニューヨーク市に渡航し、同地の投資家を前に経営プランの発表をする。
【還暦を過ぎ 新たな挑戦はじまる】
コンテストは独自の技術を持つベンチャー企業を後押ししようと、今年から始まった。京都、大阪、奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)の企業や大学、自治体などでつくる「けいはんなリサーチコンプレックス(RC)」が主催し、精華町の「けいはんなオープンイノベーションセンター」で開かれた。当日は、昨年7月からの予選を通過した11社が集まり、ベンチャービジネスに精通した審査員らを前に、それぞれの事業戦略を説明したり、技術を実演したりした。内容の発表はもちろんのこと、質疑応答に至るまで、すべて英語で行うことが義務付けられていたが、米国への留学経験と同地での事業経験がある田中社長は遺憾なく力を発揮し、そのビジネスプランに審査員の心を惹きつけた。受賞のポイントとしては、すでに着実に推進されている事業であることの実績が評価されたという。同社は現在、独自の技術による素材「ジェルトロン」を使用した寝具などを製造販売している。この素材は体圧分散性に優れていると同時にウレタン素材の4~5倍の耐久性を備えており、加えて通気性とずれ力の吸収性にも優れているため、寝具の快適性を劇的に高めると田中社長は言う。現在、同社の一部商品はネット通販大手の「楽天市場」でも大きく支持を集め、増産に次ぐ増産と、同社工場はフル稼働している現状だという。「今後は、衝撃吸収に優れた能力を発揮する同素材を、自動車などの内装部品として売り込んでいきたい」と、田中社長は話す。そのためには、現在手作業で担っている製造工程をオートメーション化し、大量生産を可能にする必要がある。ニューヨークでは、こうした事業プランを投資家に説明し、投資を募る考えだ。
【チャレンジファンド 採択 第一号】
市では、平成23年から同25年にかけて、長引く不況で低迷する市内産業の振興のため、「舞鶴市リーディング産業チャレンジファンド」という挑戦的な事業を行った。最大1千万円の事業資金が供与される、他に類を見ない同事業には累計66件の応募があり、その結果14件が採択された。その採択第1号の企業が、パシフィックウエーブだった。同社はその後飛躍的な成長を遂げ、今回の受賞によって更なる飛躍が期待される。官民がしっかりとタッグを組んだことが、こうした発展の礎になった今回の事例は、今後の地方創生の確かな標になるのではないだろうか。田中社長は、学生時代に米国に留学し、その時に得た人脈を基盤に同素材を開発・発展させたという。また、30代には、米国企業の総販売代理店となり、ウォーターベッドの販路拡大に勤しんだ。今回は、還暦を迎えた「3度目の米国挑戦」となる。事業を推進する過程では、幾度も辛酸をなめた。「いっそ死んだ方がましか」と考える事もあった。だが、その都度立ちあがり、困難に立ち向かった。同社の米国挑戦。これは、私たち地方都市の挑戦でもある。今後の発展にエールを送りつつ、吉報を期待したい。
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