まちへの思い 花に託して
市民有志が東駅前の花壇を整備
投稿日時:2021年12月03日(金)
引き揚げのまち、赤れんがのまちを謳う本市観光の玄関口ともいえるJR東舞鶴駅前。同所を管理していた公益財団法人舞鶴市花と緑の公社は、昨年度をもって解散した。手入れがなされず鬱蒼と生い茂った雑草。北口と南口を華やかに彩ったかつての花壇のあるべき姿は見る影もなくなっていた。そんな風景を前に「こんな姿は見たくない。力を合わせて出来ることを」と地域を思う多くの市民有志が立ち上がった。
呼び声をあげたのは市議の田畑篤子さん(64)。まず整備に取り組む体制づくりとして、市民有志によるボランティア団体「舞鶴はなはな倶楽部」を結成。継続した整備ができるようにと年間計画も立てた。
花壇には、寒さに強く秋から春にかけて見頃が楽しめるパンジーの苗を植えることに。これまで知識のなかった花や苗木についても調べ、専門家に話を聞くなどして自分なりに学びを深めた。
パンジーの花株入手を目指し、募ったのは1株100円の寄付。看護一筋40年で培った人脈を生かし、看護師仲間や女性団体等へ取り組み内容を伝え、参加や協力を呼びかけた。
こうして多くの賛同者を得て、準備されたパンジーは2100株。11月21日には“駅前花だらけ”と題した植え付け作業に取り組んだ。
当初聞いていた参加者は5~6人だったが、この日の作業には、小さな子どもから高齢者までおよそ40人もの有志が集まった。
ベビーカーを押しながら参加した親子や、「足が悪いから作業は出来ないけど何か自分に出来ることがあれば」と杖をつきながら訪れた人も。「助かった。赤ちゃんの面倒見ててくれる」などとそれぞれが持てる力を出し合い、またそれぞれが「まちを想う気持ち」を持参した。
スコップを手にした参加者は、ふんわりとやわらかな土に穴を掘ると、次々にパンジーを植え付けていく。クラスメートと参加した舞鶴医療センター附属看護学校1年の後藤悠斗さん(19)は、この春に鹿児島県からから当地へ来たばかり。地域活動への参加は今回が初めてだといい、「色んな年代の人と話せて楽しい」と笑顔を見せ「今後もまた機会があれば参加したい」と話した。
【思いが結集大きな力に】
この日の植え付け作業を気持ちよく進めることができたのは、常地域の70代~80代でつくる「常里山を明るくする会」による協力があってのこと。10人ほどが集まり雑草で荒れ果てたこの場所の土壌を整備。手作業で何度も鍬を振り下ろしては、手強く根を張った草を取り、耕運機で土を耕すなど汗を流した。市へも働きかけ、土木課などから可能な範囲で協力も得た。
多くの人の力が一つとなり再生できた花壇。「今回の取り組みを通じて、地域を想う気持ちを持った人の多さを改めて再確認した」と話す田畑さんは「行動に移すことが大切だと痛感した。今後も継続して取り組んでいきたい」と思いを新たに笑顔を見せた。
何もかも市が担うのは難しい。「自分たちのまちは自分たちで」市民の手によって出来ることはたくさんある。そう教えてくれるかのように色とりどりのパンジーの花が並ぶ花壇。見違えるほど美しくなった舞鶴の玄関口は今日も、観光はもちろん通勤、通学と多くの人を迎える。
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