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ふるさとの戦争と平和を綴り自費出版 引き揚げ語り部・舞鶴出身の広橋さん(京都市)【舞鶴】

ふるさとの戦争と平和を綴り自費出版 引き揚げ語り部・舞鶴出身の広橋さん(京都市)【舞鶴】

投稿日時:2010年07月09日(金)

完成した本を手にする広橋さん

 高校まで舞鶴で過ごし、引き揚げの語り部を務めている広橋澄子さん(72)=京都市西京区=が、引き揚げや浮島丸事件、旧舞鶴軍港などについて綴った文章を1冊にまとめ、『舞鶴‐発 ふるさとのまちは今』(102ページ)の題名で自費出版した。帰省をするごとに関係者の元を訪ねて聞き取りするなど、戦争と深くかかわってきたふるさとの歴史を見つめることから、まちのあり方を考えている。東舞鶴高校を卒業して地元を離れ、京都市内で中学校の教諭を務めた。定年後、立命館大学国際平和ミュージアムでボランティアガイドの活動をする中、舞鶴の旧海軍や海上自衛隊のことなどを聞かれたが、何も知らず答えることができなかった。小学生だったころ、引き揚げ者の出迎えをした記憶はあるが、いつしか舞鶴の話題と少し距離をおく自分がいた。引揚記念館での語り部養成講座を受講し、体験者から話を聞く一方、時間をつくってまちを歩き、旧軍施設や戦後の歩みを関係者などから聞き自分で調べるなどした。語り部としての活動や知らなかった浮島丸事件の追悼集会にも参加、戦跡を案内するガイドも務めるなど市民と交流する機会も増えた。敗戦直後の舞鶴のまちの様子、海軍工廠、舞鶴空襲、第3火薬廠、東山防空指揮所、戦時中に久美浜へ疎開した体験。これらをボランティアガイドの会報に六年あまりにわたって書き、ミュージアム名誉館長の安齋育郎氏から本にまとめるよう勧められた。長い戦争の歴史に翻弄された町の姿を見直しながら、美しいふるさとの風景を残し、軍港の歴史を繰り返さないでほしいとの思いを綴った。広橋さんは「まちに向き合うことで舞鶴のことが大好きになり、ミュージアムでも舞鶴の歴史を紹介しています。若い人や京都の人たちに舞鶴の歩みを知ってもらえれば」と話す。多くの関係者の協力で貴重な記録写真も掲載し、八百部作製した。1冊1000円。市内のなみえ書店、アスカ、舞鶴堂書店に置く予定。【問い合わせ】電話075・252・1788、つむぎ出版

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