最新の記事

  

ひと時“煎茶”の静けさに ~和やかに 休日午後の“和の稽古”

ひと時“煎茶”の静けさに ~和やかに 休日午後の“和の稽古”

投稿日時:2018年03月09日(金)

 急須を用いて煎茶や玉露などの茶葉に湯を注いで飲む形式をとる「煎茶道」を学ぶ教室が、喜多の山岡良子さん宅で毎月開かれている。生徒たちは日本古来の伝統的な煎茶道を通し、もてなしの心や作法を学んでいる。             (井上 務)

 「一煎さしあげます」教室生が、一滴一滴に心を込めた茶をいれ、見学者に差し出した。小さな煎茶碗を指先で口に運ぶと、口中に広がる豊かな香りや味の深みを堪能した。毎月1回、京都市内から流茶法道=右京区=の家元・佐々木一穂さんを講師に招き稽古をしている。教室生は現在4人。10年ほど前から綾部で稽古をしていたが、教室が使用できなくなったため、昨年から舞鶴に稽古場を移した。2月25日の稽古に訪れた見学者は、初めて見る茶道具や作法に興味を示すほか、味の深みや湯を注ぐ音、香りなど五感で満喫していた。煎茶道は、中国にルーツを持ち江戸時代に日本に伝えられた。その後、の僧侶・が一つの方向を示し煎茶文化が形成され、茶の湯とともに茶道文化として現代へと受け継がれている。独自の道具と作法があるが、形式や物よりも茶を味わいながら人との対話や書画を楽しむという自由な精神を重んじている。煎茶や玉露のほか、ほうじ茶、玄米茶、釜炒り茶なども楽しむ事ができる。茶葉によって最適な茶を楽しんでもらうため、量や温度などを変える。玉露を出すときは、湯をさます必要があり、「湯ざまし」と呼ばれる器に一度お湯を移して温度を下げる。基本的な形式はあるが、道具の置き方などはもてなす側の自由な発想のもと、しつらえる事ができる。この日は、煎茶とほうじ茶をいれる稽古がされた。茶道具を並べる茶具敷には桃の木が置かれ、稽古場が華やいだ雰囲気に包まれていた。佐々木さんは「道とは生涯を通して学び歩くもの」「難しく思わず挑戦する楽しさを持ちましょう」など、作法に加え茶の精神や味わい方、楽しみ方を伝える。また、見学者には道具の説明や一穂流の歴史、玉露と煎茶の茶葉の違いなどを丁寧に説明していた。見学者の一人は「お茶を習うというより、人生の勉強になった。見ていてとても楽しめた」と笑顔だった。佐々木さんは「思いやりの心が芽吹き、そこから感謝が生まれ、愛が生まれる。煎茶道の魅力はそこにある。日本文化の心がなくなってきた時代。若い人にも伝えていきたい」と話した。煎茶道は、礼儀作法とともに、もてなしの心や子どもの自発性、コミュニケーション力を育むとして、全国から注目を集めており、京都市内では、園児や児童に学んでもらおうと「子ども教室」などが開かれている。煎茶道教室は現在生徒を募集している。毎月1回。月の土・日のどれか(先生や生徒との日程調整のうえ決定)。興味のある方はTEL:090-7206-4235、山岡さんまで。
(井上 務)

この記事をシェア!
Management BY
舞鶴市民新聞
当サイトは舞鶴市民新聞社が運営しています
ページトップへ