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どう変わる 部活動 部活動指導員の制度化から4ヵ月

どう変わる 部活動 部活動指導員の制度化から4ヵ月

投稿日時:2017年08月22日(火)

 部活動などに当たる中学校や高校現場で、教員の長時間労働が問題となる中、文科省が学校教育法の施行規則を改め、部活動の外部指導員を学校職員として位置づけてから4カ月余。従来、部活動中の事故などに対する責任のあり方や、外部指導員だけで指導や大会などへの引率ができないことが課題とされてきたが、改正後は教員が不在でも指導員が行えるようにした。市内の学校現場でどう変わったのか、実態の一端を探った。

【働き方改革の一翼を担うか 「部活動指導員制度」】

 府のモデルケースとして同制度を導入した青葉中学校では、剣道部に山口正行さん(78)が就任。6月から正式な部活動指導員として週に20時間をめどに指導にあたる。中丹地区でも唯一となる部活動指導員だ。今年4月で転任した経験者顧問に代わる形で就任した。山口さんは今年3月まで海上保安学校で剣道講師を務めていた経験をもち、市内の教室でも子どもに指導しているベテランだ。練習では実際に自身も面をかぶり、部員と竹刀を合わせて指導にあたる。顧問の下間(しもつま)和拓同校教諭(51)は剣道未経験だ。「技術的なことをはじめ試合の運びや、アドバイスなどを的確に指導して頂ける。大変ありがたい」と語る。部長の久木堅斗さん(13)は「試合に勝つための、とても実践的なことを教えてもらってます。また、基本の礼儀もしっかり学びました。これからもっと強くなっていけると思う」と信頼を寄せる。同校の河村悟校長は「(指導員の導入で)大変助かっています。部員は専門的な知識と技術を身に付けることができ、学校側は顧問を持たない教師を一人つくれた。教師の負担軽減の意味で非常に大きい」と同制度に確かな手ごたえを感じている。一方で「今後進めていく中で適正者の確保が課題になると思う」と話す。指導者は誰でもという訳にはいかない。日中の仕事がなく、大会など学校の日程に合わせて土日も指導に当たれるほか、事故が起きた場合、現場で対応できる者となると、探すのは難しいのが現状だ。河村校長は「今後、学校と地域の連携を深めることがますます重要だ」と語り、同制度と並行して地域と学校で子どもを育てることの意義を強調した。部の強化と教員の業務負担の軽減が可能となる「部活動指導員制度」。市教委は「省令公布からまだ4ヵ月。働き方改革の中で実際どれだけ教員の負担が軽減されているのかを見極めながら今後を検討していきたい」としている。

【専門知識で部員をサポート】

 日本体育協会によると、保健体育以外の教員で担当している部活動の競技経験がない者が中学校で約46%、高校で約41%となっている。白糸中学校では府が施行する「運動部活動の外部指導者派遣事業」を活用し、外部から柔道部の指導員を招いている。単独での指導や生徒の引率は出来ないが、「仕事を持つ指導者」と「学校側の要望」がマッチングしている。経験者顧問の不在が長く続いていた同部には新しい風が吹いている。指導員は、浜で整体院を営む月原宏成さん(44)。整体療法士、スポーツトレーナー、メディカルトレーナーなどの資格を持つ月原さん。基礎体力の向上をはじめ、技術指導に加えメディカル面、メンタル面でも部員をサポートしている。座骨神経症に悩む妻を治療したいと平成20年に自衛隊を退職。大阪の専門学校で学び、同22年に「総合整体療法室」をオープンした。一般的な整体をはじめ、スポーツ障害に苦しむケアやけがからの復帰サポート、技術向上のアドバイスなどを中心に努めるなかで、けがに苦しむ多くの子どもたちと向き合ってきた経験をもつ。自身も柔道を10年間続けてきた月原さん。「自分も故障で結果が出ず苦しんだ。そういう気持ちや、同じけがを繰り返してしまう恐怖は痛いほど分かる。だから苦しみを一緒に乗り越えながらやります」と自身の辛さを重ね指導にあたる。また、子どもたちは、昔と比べけがをしやすい、と語る。屋外で駆け巡っていた一昔前と比べ、生活状況が大きく変わった現在。月原さんはスポーツ中のけがの多さを肌で感じている。週一回の指導ではメディカルトレーナーとしての知識を活かし、けがをしないポイントを伝えながら指導に当たる。2年生の柚木(ゆのき)はるなさん(13)は練習で右ひざをけが。ひざに負担がかからないトレーニングを教えてもらい励んでいる。「資格を持つ先生なので安心します」と信頼感を寄せる。指導員としての難しさも痛感するという月原さん。「叱ると怒るを明確に区別して、負けても決して怒らない。良い点をほめていき、なぜ負けたかアドバイスして考えさせる」と述べ、特に中学生の年代は心のバランスが大切だと強調する。「結果が出なかったり、故障で悩む子どもらは多いと思う。そんな子どもらの役に少しでも立っていきたい」と語る眼差しは熱い。9月の新人戦を控え、汗を流す部員らの声が柔道場に響く。息を吹き返したように急成長している白糸中柔道部の今後が期待される。

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