たいまつの炎で豊作祈願
投稿日時:2018年11月30日(金)
府登録無形民俗文化財である「富留山神社 おまつ神事」が11日、小倉の富留山神社で執り行われた。氏子役員や関係者、地域住民らが参加し五穀豊穣を祈願した。おまつ神事は、平安時代中頃までその起源をさかのぼるとされる。稲作の凶作が続いたために、国司・藤原経教が五穀豊穣の祈願所と定めて、霜月15日に3本の御神火を神前にかかげ、翌年の豊作・凶作を占ったことに由来する。正午頃になると地元住民らによってフル宮太鼓が打ち鳴らされ辺りに響いた。神事では、宮司が祝詞を奏上し、玉串を神前に捧げ拝礼した。続いて氏子役員3人が宮司から神火を受けると、3本の大松明に点火していった。麻殻で作られた大松明は高さ約2.5m。神前向かって右から早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)とされる。大松明の炎がはげしくゆれ動くと台風の襲来を思わせ、完全に燃えず崩れ落ちると稲の茎が病虫害にあって倒れる様に似ているとされる。また、順調な燃え方であれば、翌年の作付け品種は豊作になると言われる。3本の大松明から煙が立ち上りやがて燃え出すと、集まった地元住民からは歓声がわいた。訪れていた60代の男性は「地域の伝統が脈々と受け継がれていると感じた。農業をしているので、豊作を心で願いました」と話した。住民らは、大松明の最後の炎が消えるまで見入っていた。
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