がんを克服した白川さんが念願の石猫展 7月31日~8月19日、感謝の気持ちで【舞鶴】
投稿日時:2006年07月14日(金)
石に愛猫の絵を描く創作活動をする北吸の主婦、白川一恵さん(49)が、念願の作品展を開くことになった。体調を崩して入院し一時は開催を断念したが、抗がん剤による治療中も病室のベッドで猫を描くことが支えとなった。猫への愛情が、愛くるしい目と毛並みでちょこんと座る石の作品に、いまにも動きだしそうな命を吹き込む。病気をきっかけに猫好きの友人の輪がさらに広がっている。7月31日~8月19日、天台新町のカフェギャラリー「サルバドール・ダリ」で展示する。 5年前。玉砂利を見ていて手のひらサイズの石に猫を描けば、愛着のある置物になると思い、飼い猫のリンをモデルに描いてみた。高校のデザイン科を卒業後、グラフィックデザインの仕事をしていたことから、構図と絵はプロ並み。加えて大の猫好きで、その気持ちが作品に生命感を持たせる。 インテリアショップで市販される天然石の中から、猫の顔と全体の写真を見て、その猫の曲線に合った石を選び、目と尻尾の構図を石を眺めて決める。構図が決まれば下書きはせず、トールペイントのアクリル絵の具で一気に描き、最後にコーティングをして完成。こちらを見つめたり、眠っていたりと石の形にぴったりの表情と仕種が、猫好きの友人らに口コミで評判となり、次々と制作の依頼が舞い込みプレゼントしてきた。 石猫の作品展を考えていた2003年秋、体調を崩し病院で検査を受けると、血液のがんと言われる悪性のリンパ腫と診断され、「治療しなければ余命1年」と宣告された。すぐさま舞鶴共済病院に入院し11月に手術、翌月から抗がん剤の治療が始まった。 その間、病気のことを忘れようと、消灯後も一人明かりをつけ、夢中になってベッドで石猫を描き続けた。作品を窓辺に置いていると患者や看護師から可愛いと声を掛けられ、猫の写真をもって来てもらい描いて贈った。「ものすごく喜んでもらい、前向きな気持ちになりました」。 治療を始めたころ、夫の貴史さんが骨折して、同病院に約1か半入院した。3階の一恵さんの病室から貴史さんの六階の部屋が見え、自分の病気よりも夫や留守宅のリンのことを気づかった。04年5月に治療を終え退院した。 その後少しずつ体力も回復し、半年に一回の検査と落ちついてきたのに伴って意欲も湧いてきた。夫と一緒に瀬崎で石を探し、大きな石に描くことにも挑戦。友人の計らいで猫好きの画家、渡辺淳さんの目に留まり、「目がリアル」と評価され、親交が始まり自信につながった。一時は作品展の予約を入れて断念したギャラリーに開催の問い合わせがあるなどし、支えてくれた多くの人に感謝の気持ちを伝えようと、開催にこぎつけた。 これまで描いた170点から180点を展示する。その内、約半数はプレゼントした友人らが作品を一時里帰りの協力をしてくれた。また、リンをモデルに描くキルト作品も同時に展示する。白川さんは「最初のモデルのリンは六回も手術をしています。その姿を通して生きることを教わった。石猫を描き、人に喜んでもらえることが私にとって何よりも一番の薬です」と笑顔で話す。 作品展は午前10時半~午後6時、水曜は午後3時まで。入場無料。8月13~16日は休み。
【問い合わせ】電話75・7173、ダリ。
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