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かつての賑わい取りもどせ 北前船を題材に市民から活発意見

かつての賑わい取りもどせ 北前船を題材に市民から活発意見

投稿日時:2017年10月17日(火)

 「音楽でつなぐ日本海の文化」~明楽みゆきチェンバロコンサート&あしたの舞鶴、夢を語る市民交流会~が14日、市商工観光センターで開催された。「北前船」をキーワードに、チェンバロコンサートや市民交流会が行われ、参加者らの間に “まちの活性化を”という機運が高まった。

 神崎の魅力を伝える活動をするSKY舞鶴クラブ(吉武恭子会長)が主催。「北前船」とは、江戸時代の終わりころから明治時代にかけて、北海道から大阪方面まで行き来した船。日本海沿岸各地の寄港地は全国で200カ所になるとされ、現在へと続く地域経済基盤の形成に大きく貢献した。舞鶴では、由良川河口の神崎地区と高野川河口の田辺、志楽川河口の市場の各湊に立ち寄り、油やロウソクなどを積み込み、廻船業の商人でにぎわったという。明楽さんは京都市出身のチェンバロ奏者で、先祖に北前船主を持つことから、平成22年に「現代版北前船プロジェクト」を創設。全国に200カ所の寄港地の文化・経済交流を促進する活動を続けている。1部のチェンバロ演奏では、バッハから民謡まで、同船の活躍した時代や場所など、ゆかりのある10曲を披露。高い旋律が特徴である美しい演奏に、参加者らは大きな拍手を贈った。2部の交流会では、コメンテーターに明楽さん、国交省が選定する観光カリスマである小川原格(ただし)(小樽市在住)さん、まいづる広域観光公社の釼菱英明事業本部長を迎え、市民らの発言を取り入れながら、意見を取り交わした。北前船の歴史やもたらした恩恵を踏まえて「5年後の舞鶴をどんなまちにしたいか」「そのために市民としてどんな活動ができるか」など、具体的なテーマに沿って進められた。
 参加者からは「赤れんがに北前船を展示し、クルーズ客船などの観光客を誘導し、ガイドが紹介してはどうか」「知名度が低く、多くの人が船のことや寄港地だったことを知らない」など、市民からの活発な意見が出た。与保呂に住む50代の参加者は「舞鶴音頭を知らない人が多い。是非復活してさせて欲しい」といった伝統文化の復活を望む声も上がった。仕事の関係で全国各地を点々としたという参加者は「外から出た者からすると、市の良さが良く分かる。舞鶴の人が地元の良さを知らないケースが多い。特にかまぼこは全国回った中でも一番美味しいと思う。もっと情報発信を強めるべき」といった意見が出た。様々な意見や課題が出る中、まちの活性化を望む市民が、お互いに垣根を超えて力を結集するべきだ、という機運が高まった。釼菱本部長は「まず地元の人が舞鶴の良さを知る所がスタート。そして少しでも集まることで、50年後、100年後の当地がどうなっているかを語る。今回参加された方にとっては、そのきっかけにしていただける」と締めくくった。最後は神崎音頭保存会による「神崎音頭」が踊られ、フィナーレを飾った。北前船時代からおよそ150年。かつて、同船の寄港地の一つとして賑わいを見せた当地。先人たちの築いてきた海洋文化は時を超え、今もなお恩恵を与え続けてくれている。
 (井上 務)

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