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【暑中号】放棄山林を価値ある資源へ 舞鶴トレイル倶楽部の挑戦

【暑中号】放棄山林を価値ある資源へ 舞鶴トレイル倶楽部の挑戦

投稿日時:2016年07月22日(金)

 トレイルランニングが、近年注目を集めている。以前は山岳マラソンなどと称された、森や山中、自然公園などの未舗装の道を走るスポーツである。国内にもコースが増えてきており、それぞれの土地の自然や地域の文化に触れながら長距離を歩くロングトレイルも、少しずつ人気を集めつつある。そんな中、舞鶴にもコースを整備していこうという機運が盛り上がっている。舞鶴には、海や山に囲まれた豊かな自然がある。昨年は「海の京都」のターゲットイヤーでもあり、当地でも関連する様々なイベントが開催され、新たな観光客の誘客に一役買った。クルーズ船の安定的な寄港や、高速道路網の整備による海水浴客の増加など、「海」を取り巻く環境は、近年になく活況を呈している。その一方で、「山」は、有形の財産というよりは、お荷物として扱われている現状が否めない。山林の地権者の高齢化が進むことで、手入れが行き届かず、所によっては荒れ放題となり、人里に熊や鹿などが出没する原因にもなっている。そんな現状を憂えた市民グループが、「舞鶴トレイル倶楽部」を立ち上げ、放棄山林を有価資産にするべく様々な活動を展開している。同倶楽部の会員は、現在67人。年齢層も幅広く、職業も多様な人が集まっている。会長の源野孝彦さん(63)は、「舞鶴は、価値ある自然に恵まれたふるさと」と語る。「昔は、生活道路として使われていた旧道・古道・参詣道を整備することにより、自然の中を歩く徒歩旅行(トレッキング・ハイキング)や、走って楽しむ(トレイルラン)事ができるコースとなる。整備したコースを、市民はもとより、全国各地の方たちが舞鶴トレイルコースを訪れ、自然や文化に関心を持って頂ければ、地域活性化はもちろんのこと、観光資源のひとつになると思う」現在、舞鶴東ロータリークラブが後援し、会員からの年会費で活動費が捻出されている。地道な活動により、古道が再生されれば、大きな価値が生まれると期待される。

~舞鶴トレイルコース魅力あふれる5つのコース~
 同倶楽部は、市内を5つのエリアに分けて、それぞれのコース選定を進めている。全てつながれば全長110km以上のコースとなり、舞鶴一周の徒歩旅行やハイキング、トレイルランができるようになる。67人の会員は、それぞれ興味や得意分野により様々な役割を担い、組織的に活動する。「コース選定部」は、4チームに分かれてエリアごとのコース選定を行う。チームAは地図・磁石が読め体力のある人で構成され、コース探索を行う。チームBは、コースを確認、チームCは、先発隊がつけたマーキングテープを確認しながら、草刈機・チェーンソーを使ってコースを整備する。チームDは、年齢性別や体力レベルに対応できるかどうかを実際に歩いて確認する。「ガイドブック作製部」は、歴史・文化・風土を盛り込んだトレイルガイド作製を担う。「歴史・文化チーム」と「地図作製チーム」に分れて、確定コースを実際に歩き、情報収集を行う。「企画・広報部」は、完成したコースの魅力を市内外に向けて発信し、コースを利用した大会の開催や誘致、定期的なイベントなどの企画運営を担当する。現在、「大浦半島コース」がほぼ確定したという。国内のトレイルコースで、海が見られるコースは珍しく、整備が進めば、全国の愛好家からは垂涎のコースとなると意気盛んだ。

~人の輪が不可能を可能に市民の参加求める~
 現在、会員たちは、1チーム5~10人で休日などを利用して活動している。コース整備では、下草の刈り込みや、コース上の石の撤去、倒木伐採、道標の設置と、気の遠くなるような労力が必要となる。除草作業などは、一度やれば終わりというわけではない。自然相手の果てしない戦いである。これまであまり目を向けられることのなかった山林。しかし、古の祖先たちが大切に守ってきた古道は、今も自然に埋もれてひそやかに眠っている。この宝が再び光り輝く時、当地の新たな資源に灯りが点くだろう。今年は、「森の京都」のターゲットイヤーである。当地では、関連イベントが行われる予定がないが、森林面積の大きい舞鶴。この機会に「森」に目を向けてはいかがだろうか。同倶楽部では、年会費3千円で会員を随時募集している。問合せは、源野さんまで電話090-1678-5612

~会員たちの想い~
源野孝彦さん(63)
全国にあるコースより1ランク上のコースを作りたい。歩きながら、歴史や文化を学べるようなコースが作れると思う。活動を通して、古道に巡り合えることに喜びを感じるし、若い人がやる気を出してやってくれる姿を見ているのが楽しい。

玉林直人さん(51)
山に入ると気付くことが多い。舞鶴には赤レンガとか引揚記念館だけでなく、価値あるものが山の中に眠っている。観光資源になりうるのに、宝が朽ちていくのはもったいない。全く知られていない絶景があったり、ロッククライマー垂涎の岩場があったり、そんな有価資産を我々の手で掘り起こし、財産を市民で共有していきたい。この財産は、地域の振興はもとより、小中学校の教育の場にもなり、身体障がい者の方の雇用機会にも繋がると確信している。

中野秀行さん(43)
自分の家に人が遊びに来てくれると嬉しいが、それと同じで舞鶴に市外の方が遊びに来てほしいと常に思っている。古道歩きの楽しさを発信して、山遊びで人が遊びに来てくれたら、うれしい。

稲田大さん(46)
コースには標高の高い山がないので、高度な山岳経験がなくても、子供から高齢者まで、みんなが歩ける。 
 コース探索の中で、もともとあった道を歩いていて途中で途切れたりすると不安になるが、それが楽しくもある。先人がずっと歩いてきた道の果てなき年月を想うと感慨深く、それらがあって今の舞鶴があるとしみじみ思う。たくさんの市民にコースを歩いてもらってそうしたことが伝わっていけば、より一層まちを想う気持ちがめばえるのではないかと思う。

横山夢美さん(33)
 もともと走るのが得意だったわけではないが、その土地ならではの景色に触れたり、特産品と出会ったりと、マラソン大会に参加するのが楽しくなった。
 マラソン参加を通じて知り合ったランナー仲間が、赤レンガハーフマラソンに参加し、とても良かった言ってくれた。自分では見慣れた風景だが、他所の人にはそう映るのかと改めて感じた。しっかりと整備し、女性でも気軽に入れるコースにして、多くの方に舞鶴の自然や文化に触れていただきたいと思う。

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