「引き揚げの歌」後世へ~若浦中生徒が継承活動を開始
投稿日時:2019年07月30日(火)
旧満州やシベリア抑留からの引き揚げ者を出迎える時に歌われていた「引き揚げの歌」を復活させようと、若浦中生徒会が歌の継承に向けて準備を進めている。9日に当時を知る旧大浦中出身者3人を同校に招き、当時の様子や歌を聞くなどして意見交換した。
「引き揚げの歌」は、旧平小の教諭らが作詞・作曲を手がけた。引揚者を出迎える歌として、同小の児童たちが歌ったという。舞鶴引揚記念館は、歌の存在を知っていたが、文献などがなく、歌詞や旋律は未確認だった。約10年前に旧平小、旧大浦中出身の藤井はつ子さん(77)が夫の卒業文集の中から歌詞を発見。旋律は記憶していた。2年前に同館の長嶺睦学芸員が、藤井さんが歌っているのを知り「引き揚げの歌」を初めて確認。その後、同館と連携教育をしている若浦中が歌のことを知り、引き継いでいこうと今回に繋がった。この日、藤井さんと同じ旧平小出身の国狭久子さん(77)、旧原小出身の西野茂弘さん(77)ら3人が来校し、生徒会7人が迎えた。生徒会は、「当時、どんな思いで歌ったか」「引き揚げて来た人たちはどんな様子だったか」、「歌をどういう風に引き継いでほしいか」など質問。3人は当時の記憶を思い起こしながら「引き揚げ者は涙を流して引き揚げていた。私たちは大声で彼らを迎えていた」「戦争が二度と起こらないように引き継いでほしい」などと回答。生徒たちは熱心にメモを取っていた。意見交換の後、3人が歌を披露。また、ピアノの伴奏で一緒に歌いながら、歌の指導を受けていた。藤井さんは「歌詞に当時の様子がよく表れている。生徒たちの当時を知りたい意欲がこちらにも伝わった。彼らに歌を引き継ぐことができてうれしい」と笑顔を見せていた。生徒会長の猪野北斗さん(14)は「歌うことに価値がある。今日聞いた歌をしっかり引き継いでいきたい」と話していた。生徒会はこの後、「引き揚げの歌」を引き継いでいくことを全校生徒に提案。舞鶴引揚記念館で行われる平和記念式典(10月7日)で初披露するために練習を始めていくという。
(井上 務)
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