丸山西町 自治会独自の給付金~世帯一律2万円を現金支給
投稿日時:2020年05月26日(火)
特別給付金の申請が市でも始まった。市役所では担当者らが対応に追われ、ウェブ申請を済ませた市民には、すでにいち早く給付金が振り込まれている。そんな中、丸山西町で24日、町内独自の支給金が給付された。
「町内として何か出来ることはないか」自治会長の任について3年目になる村上英博さん(80)は、日本中の窮状を伝える報道を目にする日々に、そんな思いを募らせていた。同町内の世帯数は107。自治会が立ち上がった昭和48年からは、今年が48年目となる。村上さんは自治会設立時からの古い住民だが、町内住民の居住年数はさまざま。しかし、国内津々浦々と同様に、町内も少子高齢化の波に飲み込まれている現状だ。住民のうち中学生以下の子どもは26人、対して70歳以上で敬老会に属する人は87人にもなっている。それだけに、コロナ禍による外出自粛の波は、町内に暗い影を落としていた。町内の辻々からは、元から少ない子どもたちの姿も消え、外に出た高齢者が井戸端会議に花を咲かせる光景も影を潜めた。そんな日々に、「灯りが消えたような町内に、何とか希望のともし火をつけることは出来ないものか」と村上さんら町内の役員たちがそれぞれの思いをぶつけあい、まとまった意見が町内独自の支給金給付というアイデアだった。
【住民アンケート 8割賛成受け実施へ】
同町内には創立当時より「集会所建設」という宿願があり、そのためにコツコツと蓄えられた預金は300万円に達していた。しかし、用地確保も難しく、宿願達成の現実味が次第に薄れる中、特別会計の清算をどうするかという問題も浮上していた。そんな中、「支給金に充当しては」と村上さんが考えを披露すると、まずは役員の人たちに賛同が広がった。話はトントン拍子に進み、住民アンケートの実施が決まった。村上さんが、「反対が3割を超えれば実施は見送ろう」と心に決めて臨んだアンケートは、88票の賛成を得る結果となった。反対意見の中には、「居住年数に応じて返還するのが妥当ではないか」といったものもあったが、107世帯に一律2万円の支給をすることに決めた。村上さんは、「コロナ禍はひとつの災害だと思う。困っている状況はみな同じ。居住年数に違いがあっても、格差をつけずに平等にしたいと考えました」と力を込めた。給付金は文書を同封した封筒に収められ、23日に各組長に配布。大安である翌24日に住民の手元へ配られた。村上さんは満足感を漂わせながらも「今でも、これで良かったのかな、皆さん喜んでいただけるのだろうか、と不安な気持ちもある」と話した。他に類を見ない自治会単位の給付金。住民たちの思いやりの結晶が、それぞれの心の中に大きな花を咲かせることを期待したい。
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