がんを発病の糸井さん(倉梯町)回復して再び生きる喜び すし店経営の夫も協力、本場「さぬきうどん」で店切り盛り 【舞鶴のニュース】
投稿日時:2003年02月28日(金)
3年前にがんを発病し、その後の治療で回復した倉梯町の糸井利美さん(55)が、出身地のふるさとの味を食べてほしいと、念願だったさぬきうどんの店を切り盛りしている。病気の告知後にがんと向き合って妻を支えてきた夫の功さん(57)が協力し、経営するすし店で昼間だけうどんのメニューを始めた。病気の悩みの中、2人は出会った同病者からの励ましを受けてきた。再び生きる喜びを得た利美さんは、毎日笑顔で来店者と接している。
利美さんが卵巣がんの診断を受け、入院したのは平成12年2月だった。抗がん剤で患部を小さくしてから、摘出する手術を受けた。抗がん剤での治療は手足がしびれ、歩けなくなるほど苦しかった。病気を知った功さんも、どうしていいか分からず悩んだ。医師や看護師から励ましを受ける中、2人は同病者がいる病室に入ることを勧められた。ここで出会った女性の話を聞き、病気と共存する気持ちへ次第に切り替わった。利美さんは治療で髪が抜けた時、「お父さんから命の方が大切だと励まされた」。また、妻を支える功さんは「ガン告知いろ色すぎし冬の薔薇」など俳句を詠み、自分の気持ちを見つめた。
同年11月に退院したが、翌年に再発し長期入院。この間も2人は同室者たちと、渓流や野山にハイキングに出掛け、春の風景やお弁当を楽しんだ。功さんが毎日見舞いに訪れる病室は笑いが絶えなくなり、同室者からよく相談も受けるように。専門家によるカウンセリングの必要を感じた。再手術の予定だったががんは消えていた。退院後は毎月1度、血液検査を続けている。
利美さんは発病前はすし店を手伝っていたが、さぬきうどんの本場の香川県観音寺市で生まれ育ったことから、舞鶴で本物を出す店をしたいと願っていた。功さんも回復後は自分の生き甲斐を持った方がいいと賛成し、同市へ出掛けて一番おいしいと思った店から、同じうどんとだし汁を直送してもらい、昨年11月から利美さんが1人で昼間(午前11時~午後2時)だけ店を始めた。
メニューは釜あげうどん(430円)、しょう油をかける釜ぬきうどん(同)など4種類。本場のさぬきうどんが楽しめるとあって、口コミで人気を得ている。利美さんは「今日は何の天ぷらにしようかとか、お客さんと話もできて楽しい毎日です。病気のことも忘れています」と話していた。功さんも「生き生きとしている。元気になった」と見守っている。
【問い合わせ】電話62・7652、鯛福。
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