地元漁業に光~底引き網漁船で若手が躍動
投稿日時:2020年09月08日(火)
1日に解禁された底引き網漁。京都府漁業協同組合に所属する「大和丸」では、新顔の乗組員が躍動する姿があった。全国的に担い手不足が顕著となっている漁師だが、この秋に本格的な漁師への道のスタートラインに立った若者たちを取材した。
近年、魚価の低迷や、燃油、資材価格の高騰が続き、漁師はうま味の少ない職業という認識が広がっている。その結果、担い手の不足は顕著になっており、市内では2004年に10隻あった底引き網漁船が、現在は5隻と半減している。またその一方では、「丹後とり貝」などのブランド産品の需要は好調で、供給の拡大が求められているという一面もある。そうした状況を背景として、府では漁業における次世代人材の育成を目標に、「海の民人育成プラン」を2013年に策定。2015年からは「海の民学舎」を開設し、新規就業者の支援をスタートさせた。学舎での研修期間は2年間。最初の1年で座学や実習、各種免許取得に向けた講習などを行い、2年目には実際の仕事を通じた実地研修に取り組む。京阪神などからの受講生を集め、これまでに6期生までが学舎の門をくぐった。しかし、厳しい「海の仕事」を継続するハードルは高く、これまでおよそ40人程度の受講生のうち、講座を修了できたのはわずか13人。将来の地元漁業を担う、まさに「金の卵」といった様相だが、今年は当地にそのうちの二人がデビューするという異例の「当たり年」となった。
【若い力で 新たな風を】
海の民学舎4期生で、今年から底引き網漁船「大和丸」に就職したのは、大阪狭山市出身の浅井淳志さん(21)と、京都市出身の奥村涼さん(20)。幼いころから漁師に憧れていたという浅井さんと、釣り好きが高じて学舎の門を叩いた奥村さん。互いに都市部出身の「今どき男子」だ。冬には山ほどのカニを見て「カニを見るのも嫌になった」と振り返ったり、「朝起きるのがとにかく辛い」と素直な気持ちを吐露する一方で、長い研修期間を経てこの日を迎えたことが意志の強さを物語っている。同船の熊谷洋二郎さん(71)は「これまで若い子が来てもすぐ辞めることが多かった。二人はしっかりと頑張ってくれている」と若い二人を讃えていた。海の民学舎を運営する府水産事務所の担当者は「今回は、二人ともが舞鶴での底引き網を希望し、どちらか一人しか無理だろうと思っていたが、大和丸さんが引き受けてくださった」と異例の展開に感謝を述べて、「漁業従事者の高齢化は深刻で、担い手不足への懸念は年々強まっている。この活動をしっかりと継続し、府北部の発展につなげたい」と力を込めた。学舎では来年度開講の第7期漁業研修生の募集を始めている。募集要項など詳しくは[お問い合わせ]TEL:0772・25・3030 京都府水産事務所「海の民学舎」係まで。
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