京大水産実験所・中村泉さんが定年退官で 米スタンフォード大の特別研究員に【舞鶴のニュース】
投稿日時:2002年03月26日(火)
京都大学大学院農学研究科助教授で、長浜の付属水産実験所に勤務する中村泉さん(63)=上安=が、今月末で定年退官する。魚類分類学を専攻する中村さんは、42年間舞鶴の研究室を拠点にしながら、世界の海を航海してマグロなどの調査をする数少ない研究者。退官後は、米国のスタンフォード大学ホプキンス臨海研究所で、特別研究員として研究生活を続けることになった。
中村さんは昭和33年、京大水産学科に入学、4回生から魚類分類学を専攻した。当時はまだ同学科の講座は長浜で行われており、修士、博士、助手、助教授と42年間舞鶴で研究を続けてきた。
魚類分類学は、魚類の進化と系統を解明することから、水産生物学の基礎となっている。京大には日本の魚類分類学の基礎を築いた故・松原喜代松教授がおり、中村さんもその研究室に入った。マグロやカジキを研究対象としたのは、水産庁のマグロ漁業調査船「昭洋丸」に乗ってから。同船はドクトルマンボウで有名な北杜夫氏が、船医をしていたことでも知られる。
それ以後、マグロを追いかけて太平洋や大西洋、地中海などを回った。また、パリの国立自然史博物館や米国のスミソニアン博物館などへの留学や共同研究で90カ国に滞在。マグロの外部形態から魚の生活や進化に関する論文を発表し、世界の第一線で活躍してきた。さらに、松原教授や中村さんらが集めた魚の標本は約30万点にのぼり、実験所の標本館は東洋一の規模を誇る。
舞鶴では漁業関係者の協力を得て、魚市場で水揚げされた魚の調査や標本の採集を続けてきた。中村さんは「魚市場の関係者をはじめ多くの方に協力していただき感謝しています。42年はあっという間だったが、まだまだ分からないことがあるので研究を続けたい」と話している。
今後は、カリフォルニア州のスタンフォード大学の特別研究員として、秋から冬にかけて滞在する予定。
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