訪韓した「浮島丸殉難者を追悼する会」 光州市民との交流について報告会 【舞鶴のニュース】
投稿日時:2002年05月14日(火)
先月(4月)、韓国光州市の市民グループから招かれ、訪韓した「浮島丸殉難者を追悼する会」(野田幹夫会長)が5月11日、浜の勤労者福祉センターで、韓国市民との交流についての報告会を開いた。会場には、事件を題材にした映画「エイジアンブルー」の製作者、伊藤正昭さん=写真=も出席、映画を見た韓国市民たちから舞鶴での追悼運動に大きな反響が寄せられていると紹介した。事件を語り継ぐ舞鶴市民の草の根の取り組みは、今後も広がっていきそう。
終戦直後の昭和20年8月24日、舞鶴湾佐波賀沖で海軍特設輸送艦「浮島丸」が爆沈し、乗客ら549人が死亡した。乗客らは青森県下北半島で強制労働に従事していた朝鮮人らで、釜山へ向けての航行中に舞鶴湾に針路変更して浮島丸事件が起きた。
舞鶴市民らは事件の犠牲者を悼み、昭和29年に第1回の追悼集会を開催し、同53年には爆沈現場近くの地に追悼の碑を建立。平成7年には「エイジアンブルー」が全国公開されると、追悼集会には年々多くの人が訪れた。
伊藤さんの働きかけで昨年は韓国各地で映画上映が実現した。アジア各国の人権擁護運動をする光州市民連帯も上映会を主催し、舞鶴での取り組みに関心を寄せた。映画に出演した韓国出身の歌手の新井英一さんの初の韓国ライブツアーが光州市でも企画され、それにあわせて市民連帯は追悼する会にこれまでの運動に感謝したいと、来韓を招請した。
追悼する会の会員10人と伊藤さんらが、先月(4月)24日から26日にかけて韓国を訪れた。一行らは事件に関わる市民団体による歓迎レセプションに出席し、感謝牌を受け取った。また、市民連帯のメンバーと交流するなどした。
報告会には野田会長や伊藤さんら12人が参加。交流の様子を撮影したビデオが上映された後、会員らが韓国訪問の感想を述べた。韓国の上映会にも参加した会員の余江勝彦さんは「初めての交流の出会いができ、うれしいのと同時に二度と悲惨な歴史を繰り返していけないと思った。何度か韓国へ足を運ぶ中で、自分はアジアの一員であるのを感じている」と話した。
伊藤さんは「映画を見た韓国の人たちは、舞鶴市民の追悼の運動は映画の中の作り物と思っていた人もいたが、それが本当のことだと知って非常に喜んでいた。今年の8月24日の追悼集会には韓国から多くの人が訪れると聞いている」と語った。
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