下安久の飯田さん 山の神祭る祠を手作りで再建 【舞鶴】
投稿日時:2004年03月09日(火)
豊作や無病息災などを祈願する舞鶴市下安久地区の山の神を祭る祠(ほこら)を、地元の飯田康信さん(66)が手作りで再建した。子供のころに山の神の祠をつくった体験を思い出し、近くの伊佐津川に生える葦を屋根に並べるなど工夫した。田畑がめっきり少なくなった下安久ではすっかり山の神も忘れられていたが、これをきっかけに山の神の信仰を伝えていければという。
山の神は農村地帯では農事に関する神として知られている。春に山から里にくだって田の神となり、秋の収穫が終わると山の神ともなる。農作業を見守る女神であり、人々は豊作を祈願したとされる。
田畑が一面に広がっていた下安久地区では、山の神を全輪寺の北側の荒神の祠近くに祭っていた。毎年暮れになると、子供たちが新しい祠を藁などで作り、オコゼを供えていた。地元の人によると、約五十年前までは続いていたが、それ以降に途絶えたという。同地区は現在はすっかり住宅や工場が立ち並ぶ市街地となり、山の神の記憶はお年寄りだけのものとなっている。
飯田さんは今年の正月に荒神を参拝した際、近くに「山乃神」と刻んだ石柱が転がっているのを目にして、昔は子供たちで祠を作った思い出が蘇り、もう一度祠を作ってみようと思い立った。伊佐津川から葦を刈って揃えて屋根にし、ヒノキで祠の柱を組んだ。葦の上にさらにヒノキをはいだ皮を並べて覆った。祠の大きさは幅、高さ、奥行きとも約90センチ。
飯田さんは「立ち寄ってもらって山の神さんを思い出してもらえれば」と話していた。下安久町内では祠までの参道を整備する予定にしている。
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