逆境に輝く地域の誇り~女布町内会 住民にエコバッグを配布
投稿日時:2020年10月16日(金)
政府は13日、旅行業界の支援を目的とした「Go toトラベル」の給付金枠を追加配分する方針を明らかにした。こうした施策により個人旅行の需要が高まりつつある一方で、団体旅行は依然として敬遠されており、市内でも様々な親睦旅行が中止になっている。そんな中、女布町内会では中止になった旅行事業の予算の一部を使用し、住民にオリジナルのエコバッグを配布した。
41世帯の女布町内会(野瀬二三男区長)はこれまで、親睦を目的とした日帰り旅行を恒例の町内行事としてきた。主に近畿圏の各所に赴くこの旅行には、毎年30数人の参加者が集まり、町内の結束を強める上でも重要な事業となっていた。しかし今年はコロナ禍によって、事業の中止が決定。時節柄やむを得ないことだとは言え、肩を落とす住民も多かったという。そんな中、旅行事業に充てる予定だった資金の一部を他の用途で使用し、少しでも住民に還元できないかという議論が起こった。資金の使い道について、商品券配布やお菓子の配布など様々な意見が出る中、多くの賛同を集めたのがエコバッグの配布だった。提案したのは、まいづる環境市民会議のチームリーダーも務める森脇浩さん(63)。7月から始まったレジ袋有料化により、各家庭で使ってもらえると見込んだ上での提案だった。
【地区のシンボル 結束の旗印に】
オリジナルのエコバッグは、人とのつながりで完成した。「女布」の文字は地区住民の手による書で、デザインを担当したのは市内で活躍する女性デザイナー。製作は、小倉の障害者福祉施設「ほっこり ステーション」に委託した。「もっと安価な既製品もあったが、地元で作ることにこだわった」と野瀬区長。同級生である森脇さんと共に作り上げたバッグの出来栄えに、満足感を漂わせた。バッグには「MY BAG MY TOWN 女布」の文字を入れ、地区のシンボルともいえるモミの木をデザインした。モミの木は樹齢300年以上とされる高さ45mの大樹で、地区住民にとって特別な存在。バッグに木のイラストをあしらうことで、女布地区の住民であることの連帯感を表現した。野瀬区長と森脇さんは「村の歴史は450年。すごい地区だということをみんなで共有したいと考えた」と口をそろえた。
10年前にUターンしてきた森脇さんは、18歳で地区を離れてからは会社勤めなどで全国を転々とした。その間にもほとんど帰ることのなかった故郷だったが、帰ってきてしばらく経つと次第に考えが変わってきた。きっかけになったのは帰郷後すぐに入ったネイチャーガイド。ふるさとの自然に目を向けるうち、資源の豊かな舞鶴への愛着が沸き起こってきたという。「舞鶴には、頑張っている若い人たちも多く希望に溢れている」と森脇さん。今回のエコバッグは、そうした若い力を集結させた成果物となった。バッグはこの秋に全戸に配布。住民の山田富江さん(73)は、「買い物の時に必ず持って行っている。デザインもとても気に入っている」と笑顔を見せていた。コロナで失われた場がある一方で、こうして光が当たった部分もある。新たに強まった女布地区の結束力に、これからの地方を考えるヒントがあるのかもしれない。
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