女性の目線で学びを追求
投稿日時:2020年11月10日(火)
京都府女性の船「ステップあけぼの」舞鶴支部が7日、浜の総合文化会館小ホールで『記憶遺産が語る平和への願い』~戦後75年を迎えて、舞鶴の女性として「舞鶴を知る」こと、今、私たちに出来ること~と題した地域ネットワーク促進事業を行った。参加者たちは講演などを通して当時の様子を知り、学びを深め、先人たちの活動に思いを馳せた。
同舞鶴支部には現在94人が所属。男女共同参画の社会づくりを目指して活動している。今年は戦後75年を迎える節目でもあることから、当地で引揚者をもてなし女性活動の「いしずえ」を築いた先人の足跡をたどる企画とした。自身の生活もままならない戦後の混乱期、引き揚げてこられた方々を無償の愛で支えた舞鶴の女性たち。支部長の飯田昌子さんは、「『引き揚げの地舞鶴』に住むものとして、現代に誇りをもって引き継ぐためにも、学びを深める機会にしたかった」と力強い。およそ130人が集まったこの日、舞鶴引揚記念碑を守る会による引き揚げ者出迎えの様子を描いた創作劇「今、君帰る」の上演で幕が開けた。引き揚げ当時の様子や舞鶴市民の心のこもった歓迎などを再現。会場内はまるで、その当時にタイムスリップしたかのような雰囲気に包まれた。続いて行われた講演では「舞鶴引揚記念館の次世代への継承」をテーマに、舞鶴引揚記念館の山下美晴館長が講師を務めた。直前に上演された劇に対して山下館長は、2018年につくられ初披露された頃を振り返り「以前見せていただいた時よりも、さらにパワーアップしていてとても驚きました」と歓喜の声をあげた。
その後、同館の歴史や取り組みを紹介し、「次世代の次世代が語ってくれている」と、舞鶴・引揚語りの会サポーターとして活動する眞下葵さん(日星高2年)を紹介。会場内の拍手に包まれながら眞下さんが登壇すると、二人のトークセッションが始まった。眞下さんは語り部養成講座の第2期生。2006年に死去した祖父は、NPO法人「舞鶴・引揚語りの会」の初代理事長を務めていた。「幼い頃に亡くなった祖父との思い出の記憶はあまり多くはない」としながらも眞下さんは、祖父に連れられ同館を訪れた思い出話を披露。「亡くなった祖父の思いを継ぎ、これからも多くの人に語り継いでいきたい」と話した。山下館長が「活動の中で大変なことや辛いことはないのか」と質問を投げかけると、覚えることの多さや伝えることの難しさに困惑した表情を見せた眞下さん。しかし「やめたいと思ったことは一度もありません」と笑顔を弾けさせた。また引き揚げの史実にふれるやりとりのなかで眞下さんは「女性の目線で、女性として伝えられること発信していきたい」と意気込みを語った。次世代への継承を目の当たりにしながら参加者たちは、熱心に耳を傾けた。いつの時代も頼もしく何かを支えてきた女性の力。学びを追求し続ける当地の女性の活躍から、目が離せそうもない。
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