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舞鶴出身の田主さん『世界民族博物誌』出版 「月刊みんぱく」100回収録分を本に 【舞鶴のニュース】

舞鶴出身の田主さん『世界民族博物誌』出版 「月刊みんぱく」100回収録分を本に 【舞鶴のニュース】

投稿日時:2003年12月24日(水)

 舞鶴出身で、本紙「ふるさとの風」を連載する版画家の田主誠さん(61)=茨木市=が、国立民族学博物館の広報誌『月刊みんぱく』で、1994年から版画を担当している連載「民族博物誌」の100回分を収録した本『世界民族博物誌』が、このほど八坂書房から出版された。同館を中心とした研究者が、世界の動植物を人間との関わりという視点で記述し、田主さんがその題材のエッセンスを捉えた上で、人の智恵が感じられるような版画へと表現している。読み物としてでなく画集としても楽しめる。
 田主さんは白糸中学校、東舞鶴高校を卒業し、国家公務員として勤務しながら独学で作品を発表し、多くの国際版画展に入選した。同博物館が1977年に開館したのと同時に職員となり、『月刊みんぱく』(千里文化財団発行)で多くの挿絵を担当。退職後は各地を取材して新聞などに発表、また昨年からNHKテレビ「4時です上方倶楽部」に出演し、西国33カ所を巡って版画を描いている。
 「民族博物誌」は94年5月号からスタートしたシリーズで、同館を中心とした研究者が世界各地の現地調査で体験した動植物との出会いのエピソードを紹介している。第1回から田主さんが版画を描き、現在も連載が続く。研究者から提供された題材の写真のほか、自分で資料を収集して研究し、さらにテーマを自分の中で咀しゃくして練り上げ、人の智恵や生活が感じられる絵を、カッティングによるシルクスクリーンの多色刷りでシンプルに描いた。
 本は約8年にわたって連載した100回をまとめている。植物編では日本の稲や西アフリカで呪術に使われたエノキホコリタケのほか、カラハリ砂漠のスイカが取り上げられ、女性たちがスイカを手にダンスをしたエピソードが記されている。動物編は身近な犬のほか、オーストラリアの先住民アボリジニの神話に登場する空想上のニジヘビ、アラブ世界の妖怪のジンなどが紹介されている。四六判で323ページ。2600円(税別)。
 田主さんは「このシリーズは一番やりたかった仕事で、連載を続けていくうちに研究者との信頼関係も生まれた。私にとって本は集大成の画集ともなり、ぜひ収録した版画の作品展も開きたい」と話している。

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