逆風を追い風に コロナ後見据え 新事業に挑戦
投稿日時:2020年12月01日(火)
新型コロナウイルスが世界中を席巻した一年が、いよいよ終わりに近づいている。人の営みを根本から変えてしまったコロナ禍だが、私たちの社会はこの終わりの見えない戦いの中でも、確実に明るい光を灯し始めている。京都府が募集していた「コロナ社会対応ビジネスモデル創造事業補助金」には379件の申請があり、審査の結果68件の事業が採択された。当地の企業は2件が採択され、「コロナ後」の事業展開に向けて弾みをつけた形だ。
府は、コロナ後の社会を見すえた新たなビジネスモデルの創出を目指して、補助金の申請を受け付けていた。事業を実施する場所が京都府の場合、域外からの申請も受けつけており、今回採択された68件の中には、舞鶴市で取り組むという神戸市の企業の事業も採択された。市内の事業者では、農業法人ふるるが取り組む電動自転車を活用したマイクロツーリズム事業開発と、ウッディーハウスが取り組むライブコマースによる販売方法の確立が採択された。コロナで経済が縮小し、様々な業種でかつてない変化を迫られている。そんな中で、肩を落とすことなく前を向いて、ピンチをチャンスに変える「攻めの経営」が求められている。
【ピンチをチャンスに】
浜に本社を置くウッディーハウス(志摩幹一郎社長)が市外に出店する4店舗は、4月の緊急事態宣言を受けて全てが休業することになった。同社の従業員は85人。4店舗の休業により、そのうち約3割程度が自宅待機になった。アパレル商品は季節でないと売れず、生鮮食品になぞらえられることもある。その業態から考えると、休業の及ぼす悪影響は計り知れず、一時期は売り上げが前年対比で3割程度の落ち込みを記録した。しかし、この危機にあっても同社は様々な施策を実行。これまで日々の業務に忙殺されて実現に至っていなかった実店舗とwebの在庫管理一元化に加え、ネット上の生放送による「ライブコマース」の導入に着手した。ライブコマースは、写真共有アプリ「インスタグラム」のライブ動画機能で始めた商品紹介がきっかけとなった。店舗スタッフが実際に洋服を着用して、リアルタイムで顧客からの質問に答えた。商品を吟味した上で購入することが出来ると好評だったが、ライブ中に購入できる機能がなく、今回はその場で購入が可能になるソフトを導入し、本格的に「ライブコマース」に参入した形だ。この分野にはまだ大手アパレル企業も様子見の段階だといい、「どこよりも早く販売方法を確立し、今後着実に成長していく起爆剤としたい」と志摩社長は意欲を見せた。コロナ禍に立ち向かい、むしろ逆風を追い風に変えようと知恵を絞る地元企業。その今後に、心から期待をしたい。
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