植樹で育む郷土愛 -多門院地区で恒例の植樹祭-
投稿日時:2020年12月08日(火)
多門院地区の中心に位置する梯木(ハシキ)林で5日、地元高齢者で組織する多門院長生会(新谷一幸会長)と同地区子ども会が協力し合い、植樹祭が行われた。2012年から住民らが整備を進める同所に、桜やモミジの苗木8本が次々と植えられた。
梯木林は丹後風土記にも登場する「倉部山」で、地域住民にとって永く特別な場所であったという。ここには、かつて非常に高い床をもつ祠神社として建てられた天蔵社(現在の天蔵神社)があり、高さ8尺(約24m)の長い梯子を使って上がらなければならなかったことを地名に留めている。また同所は、風水害の多い地区災害時の早期避難場所に指定されている。災害に備え避難場所に慣れると同時に、地域の象徴的な場所を自分たちの手で守り育てることで、将来世代の郷土愛につながることを願って、地区住民は地道に里山整備の活動を展開。市からの補助金も活用しながら、これまでに約60本の樹木を植えてきた。祝樹歳の開始に先立ち、新谷会長(73)は「将来、ふるさとから離れても、帰ってきたときにこの場所の思い出を振り返ることが出来るよう、気持ちを込めて作業してほしい」と子どもたちに呼びかけた。この日参加したのは、地域の小学生をはじめとする13人の子どもたちと、長生会に属する高齢者ら合わせて30人。それぞれが郷土への思いを胸に作業を始めた。
【木が枯れても思い出は残る】
この日は、オオヤマ桜2本、シダレ桜1本、いろはモミジ3本、八重桜2本が地域の児童らによって植樹された。重機により木が据えられると、児童らは一斉にスコップをふるい、元気に土をかける作業を行なった。硫愛さん(10)麻妃さん(6)ときょうだい3人で参加した新谷奈奈美さん(12)は、普段からこの場所で鬼ごっこをしたりして遊んでいるといい、その度に「植えている樹々から季節感を感じることが出来て、遊びに来るのが楽しみです」と笑顔で話していた。スコップなどを手に生き生きと作業する長生会からの参加者らは、子どもたちとの共同作業に顔をほころばせていた。新谷会長は、「今の子どもたちはいろんな用事があって忙しく、なかなか日取りを決めるのが難しい」としながらも、「やはりこの事業の最大の目的は、世代間交流。植えた木がたとえ枯れようとも、一緒に作業をした思い出は残る。その思い出を胸に、子どもたちには郷土に誇りと愛着を持って成長してほしい」と話していた。
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