強まれ まちへの想い-市民有志が短編映画制作- 美しい「舞鶴の日常」 観光振興やUIターン の力に
投稿日時:2021年01月22日(金)
竹屋の映画館「SEIS(セイス)」で15日、市民有志で運営する「Maizuru Bamboo Monsters(MBM)」によって制作された短編映画の上映会があった。同日より動画投稿サイトyoutubeにアップされた映画には、観光客への訴求はもとより、舞鶴を離れた若者に故郷への愛着喚起を促す役割も期待される。
「冠島の見える丘から~君とすごした舞Days~」のタイトルがつけられた映画は脚本から出演まで市民が担い、昨年11月下旬に市内各所で撮影。このほど完成し、試写会が開催された。内容は、転校が決まった海飛と幼馴染の未来が繰り広げる淡い恋物語。全編に渡って映し出される舞鶴の美しい風景の中で、思春期のはかない恋心が表現されている。映画の制作費は約200万円。昨年、京都府が公募した「コロナ社会対応ビジネスモデル創造事業補助金」に採択された事業の一環で、事業主体となったシンク・アンド・アクト(京都市)とホリグチ(市内中田)が制作にこぎつけた。脚本と監督を担い、制作を推し進めたホリグチの児島信行さん(41)は、「制作を進めていく中で、舞鶴の魅力を再発見することが出来た。この映画を見ていただくことで、故郷への愛着を強めていただければうれしい」と力を込めた。
【ふるさとのあたたかさ伝える一助に】
中舞鶴に生まれ育った児島さんは、中学卒業後に三重県の全寮制の高校に進学。以来、30歳になるまで故郷を離れる日々を過ごした。生家は商売を営んでおり、舞鶴を離れたきっかけを「父に対する反発心も大きかった」と児島さんは振り返る。しかしリーマンショックの折に父の会社が著しく業績を落とし、「帰ってきてくれないか」と懇願され帰鶴。長い独り暮らしの中で親に対する感謝の気持ちが芽生え、「なんとか力になりたい」との思いだった。それまで「ふるさとのことなど気にもかけていなかった」という児島さんの再出発が始まった。帰郷後に家庭も持ち、家業発展に力を注いだ児島さんだったが、会社の再建は難しく倒産に。37歳の時のことだった。「本当に死のうと思った」と振り返る児島さんを救ったのは、舞鶴に帰ってきてから縁が出来た周囲の人々。様々な形で支援の手が差し伸べられた。現在勤務するホリグチにも、まちづくり団体で共に活動した堀口宏之社長に誘われ入社した児島さんは、「これからの人生は、人のために使っていきたい。豊かな自然も大きな魅力だが、人のあたたかさも魅力の一つ。そうしたことを様々な活動を通じて伝えられるよう、精進したいと思っています」と話した。まったくの未経験からメガホンをとった児島さん。しかし、ふるさとを愛する気持ちは、全編を通じてあたたかく伝わるものだった。この映画が、舞鶴を愛する気持ちを育むきっかけになることを期待したい。
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