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失われゆく城下町の風情 画集に 池田さん(引土)が自費出版、61点収録【舞鶴】

失われゆく城下町の風情 画集に 池田さん(引土)が自費出版、61点収録【舞鶴】

投稿日時:2006年07月28日(金)

 失われゆく西地区の城下町の風情を絵に留めている引土の池田賢二さん(73)が、画集『水彩で描く 西舞鶴の街角と港の風景』(A4判変形、84ページ)を自費出版した。今春開いた作品展で寄せられた反響に励まされ、思いもかけなかった画集が実現した。すでに取り壊された建物はじめ、見慣れた町並みや港の61点を収録、鉛筆と水彩で描いた温かく淡いタッチの作品が郷愁を誘っている。池田さんは「大切にしなければならない地域のよさを考える手掛かりになれば」とする。  子供のころから絵を描くのが好きで高校時代は美術部に入り、中学校教師となって一時期美術も指導した。教員時代はあまり描けず、中丹養護学校校長を退職後に思うように描けるようになった。中筋文化協会会長を務めた2000年、中筋地区の郷土史作りで挿絵を担当したのを機に、失われつつある城下町の町並みを書き残そうと、独学で学んだ技術でスケッチを本格的に始めた。  自宅から画材を持って徒歩や自転車で風景を探し、町の雰囲気までも表現しようと、スケッチから彩色までその場に留まり、約1~3時間かけて完成させる。八幡橋から見た桂林寺前の道、平野屋の銭湯、下安久の油槽タンクが並ぶ漁港、荷揚げ作業をする埠頭など身近な風景を切り取り、柔らかい鉛筆の線を残して水彩で仕上げたタッチが懐かしさを感じさせている。  1999年から2002年までに描いた40点を今年3、4月、マナイ商店街のメガネの和諧堂で展示した。作品展は初めてだったが、来場者から「絵の中の路地を自分が歩いているような気がした」「丸太の匂いまでが伝わる」などの感想とともに、画集にとの声を多く受け、展示できなかった作品と教員時代の絵も含め1冊にまとめた。京口のたばこ屋や高野川倉庫群など、すでに消えた風景も収めた。モトキ印刷に製作を依頼し7月24日に完成した。  池田さんは「観る人はかつての自分の暮らしと重ねて、懐かしさを感じられたのでしょう。絵を通して自分の町を振り返り、失ってはいけないものを考える機会になれば」と話している。今後は吉原の路地や竹屋町なども描き、西舞鶴の100景を目指したいとする。  300部作成した。1冊3500円で販売している。
販売先は池田さん(電話75・0608)、モトキ(電話75・2177)。

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