日展・工芸美術部門で2年ぶり8度目の入選 高井さん(成生)、海の新しい表現追い続ける【舞鶴】
投稿日時:2006年12月15日(金)
大浦半島成生の陶芸家、高井晴美さんが第38回日展・工芸美術部門で、2年ぶりに入選を果たした。落選した2年間をバネに、テーマとするふるさとの海の新しい表現を追い求め、ひたむきに土と向き合う中から、大作のオブジェ「波響(はきょう)」を作りだした。これで通算8度目の入選。あす12月16日から来年1月14日まで、京都市内の京都市美術館で展示される。 1991年から京都市内で作家として活動を始め、日本の美術界をリードする日展に3年連続で入選。94年に漁村の故郷に戻り、アトリエの眼前に広がる海を一貫してテーマに取り上げ、岩にくだける波のしぶきや波の音を形にしたオブジェを発表し、日展などに出品している。2004年には日本現代工芸美術展で初入賞、日本現代美術家協会の本会員になった。 地方にいても全国レベルの作品を作れるのを示そうと、毎年日展に挑戦しているが、03年の入選以後落選が続いた。同じテーマを追求するため、見る側に新鮮さを与えることが難しくなったと思い、同協会の関西在住の作家たちと勉強会を持ち、互いに作品を批評して研究を重ねた。アトリエでは波の音を聞き、土の機嫌を見ながら深夜まで創作に無心で没頭した。また、今年3月には多くの人に見てもらおうと、神戸市のギャラリーで個展を開いた。 「波響」は高さ36センチ、長さ63センチ、奥行き36センチ、薄い水色をする。波のうねりや響きに触発され、海の力強さと静けさなどを表現した。下方に曲がる先端部分は創作中に土が下がってくるため、毎日10センチずつ積み、土が乾くのを待って作業を進めた。5月に構想を固めたが、夏に右肩が痛くなり約2カ月リハビリに通い、10月の搬入に間に合った。 高井さんは「一時は作品を完成させることができないかと思いました。今回に満足せず今後も海の形を追究したい」と話す。来年は6月と10月に大阪市のギャラリーで個展を開く。
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