災害時に河川から飲料水、浄活水装置試作機 舞鶴高専の学生に小阪金属工業ら協力【舞鶴】
投稿日時:2007年01月30日(火)
舞鶴高専の機械工学科の5年生たちと森の小阪金属工業(小阪憲一社長)らが協力し、災害時に河川などに持ち運んで取水して、飲料水を作りだすことができる浄活水装置の試作機をこのほど完成させた。2004年の台風23号の被害を教訓にして開発に取り組んだ。学生4人は卒業研究として発表するとともに、3月をめどに大型化した実用機を作りたいとしている。 同機械工学科の川勝邦夫教授が、台風23号で水道が断水した被害から、近くの河川から飲料水を確保できないかと発案した。これまでも浄活水機を製造してきた小阪金属工業の協力を得て、川勝教授の指導を受けた学生たちが研究を開始。また、市などで構成する京都・まいづる立命館地域創造機構(MIREC)の産学共同研究の一環として、3者が一緒にアイデアを話し合った。 装置は河川から水をくみ上げるポンプ、同社が製造したステンレス製の容器(直径20センチ、高さ40センチ)4台などをつなぐ。一番最初に濁った河川の水から汚れをカットするため、取水口に取り付けるフィルターの決定に一年かかった。海岸での工事で濁った海水の拡散を防ぐプラスチック製のフィルターを教えられ、これを利用した。 容器の中に入れる材質も実験を繰り返し、セラミックや活性炭を詰め、濁りと色を除去、殺菌効果を高め浄化に成功した。由良川で試作装置を使った結果、1分間に1リットルの流量で濁度1.69、色度3.2、殺菌もでき、水道水の基準をクリアした。従来の同種の装置よりも保守管理が簡単で、災害場所などに持ち運びができる利点がある。 開発を担当した学生の薄木航さん(20)と田原詳悟さん(同)、福田篤士さん(同)、松本利保さん(19)は「取り組みを通してものづくりの楽しさを学べました。災害時に市民の飲料水の確保に役立てれば」と喜んでいる。 今後は1分間に20リットルを確保できるよう、浄化能力を10倍アップした装置の実用化を目指す。川勝教授は「装置を大型化しても2トントラックに積み込める。災害時だけでなく、水環境の悪い発展途上国での利用も考えられる」と話していた。
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