「引揚全国友の会」副理事長・神原さん(愛宕下町) 戦時下、青春時代の体験と苦悩を綴り本に【舞鶴】
投稿日時:2007年09月07日(金)
1943(昭和18)年から終戦にかけ、東京で大学生として過ごし、特攻隊に志願した「引揚を記念する舞鶴・全国友の会」副理事長の神原崙(たかし)さん(83)=愛宕下町=が、当時の体験と苦悩の記録を、小説風にして1冊の本にまとめた。戦争末期の時代にあって、自分の生きる道と死に場所を模索するという矛盾を抱えた胸の内を伝えている。『駿河台の空は暗かった』の題名で新風舎から出版される。 舞鶴生まれの神原さんは43年、東京神田の駿河台にあった中央大学に入学、同じ下宿先の学生たちと人生や政治などを熱く議論した。刻一刻と戦争の影が迫る中、理想を追う生き方を探る一方で、死に場所を求めて悩んだ結果、特攻隊に志願して死のうと決断。翌年に陸軍特別操縦見習士官になり、本土決戦に備えて朝鮮半島の済州島要員として特攻訓練を受けた。 終戦は北朝鮮の温井里(オンセイリ)飛行場で迎え、この年の舞鶴への引き揚げ第1船「雲仙丸」で帰国した。大学に復学して48年に卒業、帰郷して進駐軍の諜報部隊のCIC舞鶴平キャンプに勤務。このCIC時代に、苦悩した青春時代と戦争体験を忘れないようにと書き留め、いつか本にと温めてきた。その後中学校教員や建築会社経営、引き揚げの歴史を伝える活動などを経て、2001年から4年かけて残りの原稿を仕上げた。 昨年、新風舎の懸賞小説に応募し、8450編の中から出版奨励賞に選ばれ、本になることが決まった。自費出版の形だが宣伝や書店への配本などは出版社が行う。ノンフィクションではなく、主人公の原美樹の名で小説風にして自分の体験を綴り、若者を死に駆り立てた戦争を描く。130ページ、定価は1300円+税。 現在は私塾「紺青の会」を開いて、戦争と平和をテーマに勉強会をする。神原さんは「学生のころは釘を1本飲み込んでいたようで、どこでいつ死ぬかを考えていた。歴史の一こまとして多くの人に読んでほしい」と話していた。出版を祝って友人たちが9月8日、浜の市商工観光センターで記念パーティーを開く。10月初旬から全国の書店で発売の予定。
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