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西高通信制、孫のような同級生らに支えられ 63歳の粟倉さん(京丹後市)が卒業【舞鶴】

西高通信制、孫のような同級生らに支えられ 63歳の粟倉さん(京丹後市)が卒業【舞鶴】

投稿日時:2009年03月03日(火)

卒業証書を手にする粟倉さん

 引土の西舞鶴高校(井関康宏校長)で2月28日、平成20年度卒業式があり、通信制課程の粟倉つた江さん(63)=京丹後市峰山町=が、同課程の21人とともに卒業の日を迎えた。孫のような年齢差のある同級生らに支えられ、時には人生の先輩として自分の経験を伝えるなどし、大切な思い出を紡いだ3年間になっている。  粟倉さんは中学卒業と同時に、実家の丹後ちりめんを織る仕事についた。当時はまだ高校進学者が少なく、高校に行きたいと思いはしたが言い出せず、機織りの昼休みに新聞を読むのを楽しみに過ごしていた。  結婚し1男1女を育て仕事もしていたが、60歳を迎えて自分の人生を振り返り、高校へ行きたかった気持ちが蘇った。西高通信制を卒業し舞鶴に住む妹がそんな思いを察し、面接など全ての段取りに手を貸し背中を押してくれた。  2006年の入学式。若者ばかりでどう関わっていいのか、続けられるのかと不安の方が大きかったが、毎週日曜日の登校で徐々に若い人たちが声をかけてくれ、通学が楽しくなった。一方、英語と数学の勉強に苦労した。同級生からレポート作成の手助けを受け、友人の娘の現役高校生が教えてくれた。  昨年は生活体験発表で60歳で通信制に入学した思いをはじめ、「私はかつて生きることができなかった時間を少し生き直すことができたように感じます。その時間は、私の人生という『織物』を新たに紡ぎ直していくためのきっかけを与えてくれた」と綴り、若い人たちから励みになったと感想を聞いた。  必要な単位を修得し最短の3年で卒業を迎えた粟倉さんは「体験発表は私の宝物になり、何度も読み返しています。機会をつくり支えてくれた妹、家族、先生、同級生の皆さんに感謝の思いで一杯です。いまは張り詰めた思いが切れたような感じです」と話していた。

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