商品開発で町に恩返しを~クラウドファンディングで 商品開発資金を調達
投稿日時:2021年05月14日(金)
引土の精肉販売業ABCフーズサービス(田村元嗣社長)が町の特産品を作ろうと、新商品の開発に向けたクラウドファンディングに挑戦している。 コロナ禍を受けて沈滞する市内経済に灯った一筋の光。重苦しい空気に風穴を開けようと奮闘する若手事業者の挑戦を追った。
クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。不特定多数の人が他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを意味し、様々なウェブサイトを通じて簡単に寄付を行うことが出来る。市内の事業者ではこれまで、ボイラー改修費用の寄付を募った「若の湯」の事例があるが、商品開発資金を募集するケースはほとんど例を見ない試みだ。同社はクラウドファンディングのサービスを展開する「MAKUAKE」を使って、支援者を募集。集まった支援金で「何にでも合う肉みそ」の開発資金に充てる計画だという。計画を立案した同社の田村寿英さん(30)は「不安も大きかった」とスタート時を振り返ったが、支援者に提供される同社製造の精肉などの魅力も大きかったためか、開始早々に多くの申し込みが殺到。現在(5月13日)までに、当初想定していた150万円の目標金額を大きく上回る、約270万円の支援金を集めることに成功した。設定した受付終了日までには2ヶ月近くを残しており、更なる上積みが期待されている。
【育った愛着が出発点】
同社の2代目となる田村さんは、1991年に綾部市で生まれた。4人きょうだいの3番目ということもあり、「父親の跡を継ぐことは全く考えていなかった」と田村さん。高校卒業後は大阪に出て電気設備会社の会社員となった。転機が訪れたのは22歳の頃。父が病に伏したことをきっかけに、家業に入るよう請われたのだ。もともと生まれ育ったのは綾部市ということもあり、舞鶴にはそれほど馴染みがなかった。人生を左右する決断になかなか迷いが取れなかったが、最後には自分がやるしかないと腹をくくった。兄と姉は共に医療関係に進んで地歩を固めており、自分が力にならねばとの思いが募った末の決断だった。右も左もわからず入った家業。肉に向き合い、顧客に向き合う日々を経て、次第に商売の面白さに目覚めていった。舞鶴の人たちはあたたかく、町への愛着が日増しに育っていった。そんな中訪れたコロナ禍。給食や業務用など多くの売り上げが失われる中、周囲の助力を得て取り組んだふるさと納税で、ローストビーフランキング1位になるなど多くの支持を集めるまでになった。「自分も少しは町のためになれたのかもしれない」と誇らしい気持ちが沸き起こると同時に、田村さんは「自分を育ててくれた町に恩返しがしたい」と思うようになったという。終わりの見えないコロナ禍で苦しむ人たちを間近で見てきただけに、自分の取り組みがひとつの突破口になればと始めたクラウドファンディング。目標金額に達したことで、第一関門は突破した。「応援していただく多くの方々の期待に応えられるよう、素晴らしい商品を開発したい」と田村さん。市内の生産者たちを巻き込んで、いよいよ挑戦は第2章に突入する。
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