京の伝統野菜 佐波賀だいこん復活の一歩 農業者、府、市がプロジェクト 地域のブランド産品へ 試験栽培、初収穫 野生種に近く濃い味【舞鶴】
投稿日時:2011年03月29日(火)
昭和30年ごろに京阪神に出荷されていたが、その後次第に姿を消した京の伝統野菜「佐波賀だいこん」を復活させるプロジェクトが、関係者によって始まった。本来の野生種に近く、濃厚な味と繊維質の多さが特徴でおろしや煮物などに適している。佐波賀だいこんの普及に努めた生産者の曾孫にあたる佐藤正之さん(47)=佐波賀=が、府や市などの協力で昨年9月から佐波賀で試験栽培し、このほど一部を収穫した。地域のブランド産品として販売を目指している。 佐波賀だいこんは江戸時代から作られていたとされる。従来のだいこんが3カ月で収穫でき、スリムな形をしているのに比べ、秋に種を蒔き翌年2~3月に収穫する晩成型で、根本は太く先が尖った形。葉は濃い緑色でタンポポの葉のように地表に広がっている。水分が少なく繊維質が豊富で硬く、煮崩れしにくい。辛味も含まれる。 水はけのよい栽培適地の佐波賀地区を発祥地に、昭和30年前後には大浦と加佐などで栽培面積50ヘクタール、2,200トン(この内佐波賀地区は1,500トン)を出荷していた。しかし、生育期間が6カ月と長く、身がしまり重く引き抜くのに力がいるため、次第に生産者に敬遠され、消費者の嗜好の変化も影響し作られなくなった。現在は種子保存のため京都府農林水産技術センター(亀岡市)が栽培を続ける。 佐藤さんの曾祖父の憲太郎さんが、佐波賀だいこんの育成と佐波賀園芸組合の設立に尽くしたこともあり、復活への思いを温めていた。農協や府、市などとスクラムを組んでプロジェクトを開始。同センター提供の種子約580個を昨年9月にハウスと露地の畑に蒔き、ずっしりと大きなものを収穫できた。世話は一般的なだいこんと変わらないが、発芽率が従来の約8割に比べ6割程度と少し落ちる。 ハウスで育った150本は瀬崎のふるるファームレストランに出荷し、3月26、27日におろしや生スティック、味の濃い葉も炒め物にして提供した。露地の70本から種を採る。 佐藤さんは「今後数年かけて選抜して種を採って栽培を繰り返し、付加価値をつけて商品として広がるようになれば」と話す。同ファーム代表の秋安俊豪代表(54)は「食べてみてこれがだいこん本来の味と思った。食文化を見直し、昔の味覚を呼び戻す素材になる」と期待をかける。
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