知られざるマグロの生活伝える 調査船の航海の思い出も 元京大舞鶴水産実験所の中村さん 50年間の研究集大成、講談社から出版 各地の海洋を航海して調べる 数少ない研究者 写真と図版を交えて紹介 マグロはいつ眠るの? なぜ、おいしいの?【舞鶴】
投稿日時:2011年07月08日(金)
京都大学舞鶴水産実験所に勤務した元助教授の中村泉さん(72)=上安=が、世界の海を航海しながら調査研究してきたマグロをテーマにした一般書『マグロ学 一生泳ぎ続ける理由とそれを可能にする体の仕組み』を講談社から出版した。約50年間の研究成果を集大成し、マグロの分類、生態、進化、味などをわかりやすく解説する。『どくとるマンボウ航海記』で有名な調査船に乗船した思い出なども執筆した。 京大農学部を卒業した中村さんは魚類分類学を専攻。舞鶴を研究活動の拠点に、漁業調査船に乗り15回の航海でマグロやカジキの調査に携わった。研究を始めた1960年代前半はマグロの分類は正確にできていなかったが、国内の主要な市場と世界の洋上での調査、加えて各地の研究者との協力でクロマグロやミナミマグロなど7種の分類を確立した。 2002年に同実験所を定年退官後は、国際協力事業団のシニア海外ボランティアとして3年間、チュニジアの国立海洋科学技術研究所に派遣された。現在、米国スタンフォード大学ホプキンス臨海実験所マグロ研究保全センター賛助研究員として、学生たちに指導もする。 各地の海洋を航海してマグロを調べる数少ない研究者であることから、その経験を活かしてわかりやすくマグロのことを紹介してほしいと講談社から執筆依頼を受け、3年がかりで出版にこぎつけた。 魚の王者と言われているマグロだが、口とえらぶたを開けて呼吸するため、死に至るまで休むことなく泳ぎ続けなければならない生態、そんな中でマグロはいつ眠るのか、マグロは本当にいなくなってしまうのか、マグロのおいしさの秘密など、多くの写真と自身の図版も交えて紹介している。 作家の北杜夫氏が著わしたマンボウ航海記の舞台になった水産庁の調査船「照洋丸」に、63年10月から半年間にわたった太平洋一周の乗船のエピソード、寄港した南米チリで土着とヨーロッパが混交した風景や風俗に新鮮な驚きを覚えた体験など、地球約6周分の航海の思い出も書いた。 中村さんは「魚の中でもマグロは1番長い距離を速いスピードで遊泳し、しかも食べておいしい。そんなマグロの実態をつきとめたいと研究を始めた。ほとんど知られていない外洋域での生活をこの本で伝えることができれば」と話している。本は四六判で237ページ。2,200円(税別)。全国の書店で販売中。
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