釜石の小中学校防災教育を指導 片田さん 「想定にとらわれるな」 津波生きのびた子らの体験語る【舞鶴】
投稿日時:2012年02月14日(火)
東日本大震災の大津波によって、1000人以上の犠牲者を出した岩手県釜石市で、ほぼ全ての小中学生が助か ったが、その防災教育を指導した群馬大学大学院の片田敏孝教授の講演会「想定外を生き抜く力」が2月8日夜、浜の市商工観光センターで開かれた。想定にとらわれず、自分の命は自分たちで守る主体性を育てる大切さを語った。 釜石市は津波によって沿岸部が壊滅的な被害を受けた。そんな中、小学校9校、中学校5校の全児童生徒2926人の内、学校にいなかった5人を除く全員が避難して無事だった。 8年前から釜石市の学校で防災教育に関わる片田さんは、今回の震災で想定にとらわれすぎた防災の弱点を指摘。宮古市で防潮堤があるので逃げずに亡くなった人、釜石市では津波ハザードマップの浸水想定区域外の安全地帯とされた住民たちが多く亡くなっている事例を示した。 現在、想定の見直しや自然を制圧する発想で議論されているのは間違いとし、「自然の営みに畏敬の念を持ち、行政に委ねることなく、自らの命を守ることに主体的たれ」を信念に、想定にとらわれず自分が率先して避難するなどの避難三原則を説明した。 津波で全壊した釜石東中学校の生徒たちの震災時の様子も紹介。生徒たちが大声で危険を知らせて自ら逃げたことで、近くの鵜住居(うのすまい)小の児童や保育園の園児たちもその姿を見て逃げ出した。中学生たちは車いすの高齢者の避難も手伝った。 片田さんは「子供たちは津波の体験を伝えようとしており、その姿に大人たちが刺激を受け復旧の議論が盛んだ。防災を通じて子供たちが育っている。釜石は大丈夫」と力強く述べた。 講演会は舞鶴みなとライオンズクラブが主催した。会場の席を埋め尽くす約330人が来場し、最後まで片田さんの説得力ある話に聴き入った。また、片田さんが釜石の子供たちの教育支援にと呼びかけた募金には、16万5千円が会場から寄せられた。
写真=「自らの命を守るのは自分」と話す片田さん
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