浮島丸事件 芝居に 日韓の重い「荷」問いかける 韓国の劇作家が脚本 劇団・東京演劇アンサンブル 2月24日から練馬区で上演【舞鶴】
投稿日時:2012年02月10日(金)
1945年8月24日、舞鶴湾内で海軍特設輸送艦が爆沈し、多くの朝鮮人労働者が犠牲となった浮島丸事件を主題にした芝居「荷(チム)」が、プロ劇団の東京演劇アンサンブル(東京都練馬区)によって取り組まれる。韓国の劇作家による脚本で、昨年12月に来鶴して殉難の碑を見た劇団員たちが、日本と韓国に残る重い荷物を問いかける。2月24日から練馬区の劇場で上演が始まる。 54年創設の同劇団は、文芸作品や戦争をモチーフにした作品などを、国内外で手がけている。韓国との演劇交流の中で作品「荷」を知った。女性劇作家の鄭福根(チョン・ボックン)さんが書き上げ、08年に韓国で初演され、今回の日本公演のため新たに加筆した。 戦争中、強制労働をさせられていた朝鮮人たちを乗せた船「浮島丸」が、戦争が終わって朝鮮半島に向け出港した青森県大湊。この地に住む日本人男性が事件の犠牲となった朝鮮人女性の小さな荷物を預かっていた。その男性の娘が女性の関係者を探し出し、韓国にいる男に送る。 しかし、男は自分が受け取るべき荷物ではないと日本へと送り返した。戦争を知らない世代の日韓の2人の間で荷物が行き交ううちに、乗船を止められなかった日本人男性の罪悪感、強制連行された女性を突き放した韓国人側の罪の意識などがあぶりだされる。 劇団員ら15人は、舞鶴市下佐波賀の殉難の碑前で殉難者を追悼する会の余江勝彦会長から事件の概要、救助の様子、追悼活動の説明を受けた。韓国から招かれた俳優2人と舞台を作り上げ、社会派演劇の旗手、坂手洋二さんが演出する。 制作担当の太田昭さん(39)は「韓国では事件が芝居になる一方、日本ではほとんど知られていないことに、荷物の重さの違いを感じます。日韓の間で押し付け合う荷を介して、双方で対話を重ねて関係を作っていくことが大切です」と語る。余江会長は「事件がいまだ未解決で終わっていないことによる意識の違いが込められているように思う。上演によって事件を知り考えてもらう機会になれば」と話している。 公演はブレヒトの芝居小屋で3月4日まで。午後2時と同7時の2回。前売り3,800円。
【問い合わせ】電話03・3920・5232、同アンサンブル
写真=殉難の碑を訪れ、余江さん(左端)から話を聞く劇団員たち(昨年12月)
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