自然に向き合い 17文字へ昇華 南さん 第2句集「志楽」出版 季語を体感 畑仕事と俳句楽しむ【舞鶴】
投稿日時:2012年04月17日(火)
俳句結社「風土」同人の南うみをさん(60)=安岡町=が、この10年に詠んだ300句を収めた第2句集『志楽』(四六版、173ページ、ふらんす堂発行)を出版した。田畑での農作業を通して人間は自然の一部を実感し、その想いを17文字の言葉に昇華させた。志楽の地域に根付きながら、京都や大阪などで俳人たちと研鑽も重ねてきた。 現代詩を作っていたが、約20年前に俳句に出合って「風土」に入会。2000年に第1句集『丹後』を出版し、第24回俳人協会新人賞を受けた。53歳で体調を崩して福祉施設を退職した後、健康を取り戻すことと、自然に触れて季語を体感し俳句を詠もうと畑仕事を始めた。 自宅近くの荒地だった畑を3年がかりで機械を使わず開墾し、手作業と無農薬にこだわって作物を収穫するが、時にはサルに収穫物を荒らされたり、田んぼで田植えなどの作業も手伝うこともある。 一方、従来の句を乗り越えるため、京都市内などの句会にも出席して学び、角川学芸出版の総合誌「俳句」にも執筆。地元でも結社を越えた勉強会「うの会」でアドバイスをし、3月からは初心者対象の基礎講座を南公民館で始めた。舞鶴市民新聞でも俳句の魅力を紹介するコーナーで連載を続ける。 第2句集は句会などで発表した300句を収録し、その7割が自然に触れた中から生まれた句だ。「てのひらに吸ひつく茄子もぎにけり」「田を植うる一歩の水の濁りかな」「先客の蛇に声かけ草清水」「肥料袋どすんと水の温みけり」と、どれも作者のリアルな体験と光景が、平易な言葉で読む者に伝わってくる。 このほか、「くらがりを重石としたり茎の樽」は蔵の暗闇をも重石と捉え、「肩書きをはづせば見ゆる柿の花」は、肩書きのない素の自分になったことで見過ごしていた小さな自然に目を留めることができた想いを込めた。 南さんは「野菜作りと俳句作りを楽しみ、それが句集になりました。自然の一部としての人間があることをより強く感じています。俳句を通して1人でも多くの人が自然と向き合ってほしい」と話す。句集は500部作成した。1冊2,400円。電話090・1484・4706、南さん。
写真=300句を収めた句集「志楽」と南さん
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