フィリピンから来日の女性たち 日本語学び 生きる力に シスター原田 天台修道院で教室 ボランティアで25年間指導【舞鶴】
投稿日時:2013年06月21日(金)
仕事や結婚のため来日し、舞鶴に在住するフィリピン出身の女性たちが、上安の聖母訪問会天台修道院で開かれている日本語教室で、語学の勉強を続けている。それを支えているのが同会のシスター(修道女)、原田従子さん。約25年前からボランティアで指導を続けている。言葉を身につけることで女性たちは自信につながり、生きる力になっている。いま漢字検定に挑んでいる。
鎌倉市に本部を置く聖母訪問会は、フィリピンに支部を置き医療援助活動をしてきた。原田さんも何度も現地を訪れたことがあった。赴任した舞鶴市内の教会で英語によるミサが行なわれるようになり、在住するフィリピン女性たちと知り合うようになったが、日本語が話せない人が多いことに気づき、教室を始めることにした。
教室は毎月2回ほど土曜日午後から。日星高校内の修道院で10人でスタートし、2011年から天台修道院に移った。多い日は15~20人、少ない日は3、4人が通う。小・中学校に通う子供たちも一緒に学ぶ。小学1~6年で使う漢字を身につけようと、原田さんが問題集を作成する。言葉を学ぶだけでなく、生活の悩みを打ち明けたり、子供たちの進路も原田さんに相談している。
当初は読み書きを中心に学び、学習の成果を試そうと日本語能力検定試験を受験し、最高の1級をはじめ、多くの人が2~4級に合格。また、フィリピンで取得した車の運転免許を日本で切り替えるための試験や、ホームヘルパー講習の勉強なども原田さんから教わった。次第に語学力が備わり自営業を開業する人、介護職や学校で講師を務める人たちもいる。
昨年から日本漢字能力検定試験に取り組む。日本語能力検定試験は京都市内であるため、交通費がかかり受験料も5,000円と高額。漢字検定は修道院が準会場の認定を受け受験しやすくなった。大学レベルの1級から、小学1年で学ぶレベルの10級まである。
6月にあった検定には6・7級に4人、8・9・10級に大人や日本人を含む小中学生ら10人が受け、問題用紙に向き合った。 来日して25年になる倉橋マリネスさん(48)=行永=は漢検6級を受けた。約20年間、ほぼ毎回教室に通い続けている。フィリピンでは大学でマーケティングを学んでいた。
「来日当時は人と出会っても話せず不安だった。いまはぼちぼち日本語ができるまでになりました。教室に来ると集中して楽しく勉強できる。原田さんは頼りになる存在です」と話す。飲食業を営む中で時間を見つけ勉強を続けている。漢検5級が目標だ。
原田さんは「日本語ができるようになったことが自信となり、いろんなことにチャレンジして活き活きしている姿にうれしい。よりよく生きようと努力する彼女たちにとって、少しは何か役に立てたかなと思います」と笑顔で見守っている。
写真=漢字の問題を解くフィリピン出身の女性たちと教える原田さん(中央)
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