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南相馬市の青田さんが講演 原発事故後の対応、課題示す 障害者の避難、職員の安全は?【舞鶴】

南相馬市の青田さんが講演 原発事故後の対応、課題示す 障害者の避難、職員の安全は?【舞鶴】

投稿日時:2013年07月26日(金)

原発事故後の対応

福島県南相馬市で障害者施設を運営するNPO法人さぽーとセンターぴあの青田由幸代表が7月21日来鶴し、浜の市商工観光センターで講演した。東日本大震災と原発事故が重なった同市で、避難後に体調を崩して亡くなる人が多い現状、障害や病気を抱える人たちの避難困難者の対応、職員の安全確保など難しい課題を明らかにした。
 南相馬市は地震と津波、原発事故に襲われ、直接の死者と行方不明者は636人。一方、避難中や避難先で体調を崩すなどして亡くなった震災関連死は409人にも上り、原発事故で避難指示が出た富岡町など他の町村では関連死が直接死よりも多くなっている。震災前同市の人口は約7万1000人、一時避難で1万人になったが現在は4万6000人。
 同法人は生活介護など3つの施設を運営する。高台にあり津波の被害は受けなかったが、福島第1原発から20~30キロ圏内にあり、当初は屋内待避、次に避難準備地域になり市外へ避難した。障害の重い人は避難できず、難聴者は情報が入手できず孤立し、電源がない状態で健常者もテレビとラジオから情報を得ていた。避難所に入っても障害者たちは生活が困難なため、自宅に戻るケースも多かった。
 震災当日、施設職員たちは利用者を守って家族の元に戻すことができたが、「職員の家族のことが頭から抜け落ちていた。たまたま家族に犠牲者が出なかったが、子供だけ置いて職員が職場に来ることはできない。そういう状況で何ができるか考えないといけない」と述べた上で、「障害を持つ仲間たちは職員が助けてくれると信頼している。私たちの仲間や職員の苦しみを他の地域でしてほしくない。備えや想定を広く考えておくべきだ」と指摘した。
 原発事故を想定した舞鶴市の避難計画にも触れ、「本当に8万人が一斉に避難できるのか? 入院患者や施設入所者ら約3000人をどうやって避難させるのか?南相馬市の場合、バスを手配しても運転手は町に入るのをいやがった。運転手を確保できるのか?」と次々と疑問点を示した。
 京都北部で障害者施設を運営する6つの福祉法人の役員や職員たちの研修交流会の中で、講演会が開かれ約80人が出席した。

写真=「避難後に多くの人が亡くなった」と話す青田さん

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